週刊文春の取材方法には批判的な声が多くあがります。
今回は、週刊文春はなぜ訴えられないのか?
取材方法は違法ではないのか、なぜ潰れないのか理由を紹介します。
週刊文春はなぜ訴えられない?
芸能人や政治家のプライベートを盗撮しておきながら、週刊文春はなぜ訴えられないのでしょうか?
プライバシーや肖像権の侵害で訴えられないのか:可能性はある
私たちにはプライバシー権や肖像権というものがあります。
一般人だけでなく芸能人にもプライバシー権があります。
人に見られている場面があるだけでなく、個人としての時間や秘密にしておきたいことがあります。
盗撮のように勝手に家の中を覗かれたり、秘密にしていることや人に知られると嫌なことを知られることがないように守られる権利です。
肖像権は例えば写真を勝手に取られたり、その写真を利用されたりしないようにすることができる権利です。
特に最近では、プライバシーとの兼ね合いもあり少しでも顔が映ったり個人が特定できる写真がインターネット上や雑誌などに掲載される場合には、逐一許可を取らなければならないようになってきています。
週刊文春のスクープは
- 政治家の金の問題
- 殺人事件の犯人や被害者・家族
- 芸能人の熱愛・不倫・薬物利用 など
さまざまな話題を報じます。
政治家の金銭問題は私たちの払っている税金が不正利用されていることにもなるので、なんとも言えないところでもありますが、芸能人の熱愛や不倫などは法律に違反しているわけでもない出来事です。
売名行為として、あえてスクープ写真を撮らせている場合もあるでしょうがその限りではありません。
ファンにとっては知りたくないことであり、本人たちにとっても知られることを目的としてやっている訳でもないことを写真や動画を撮影して勝手に記事にすることはプライバシーや肖像権の侵害です。
有名税とイメージ保護のために訴えにくい
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芸能人といえども、プライバシーや肖像権があります。
それでも勝手に盗撮されて記事にされても訴えない理由には、昔からよく言われる「有名税」が挙げられます。
芸能人にとって注目されなくなることは芸能人生命の終了を意味します。
プライバシーや肖像権のような個人の尊厳は決して新しいことではありませんが、「主張すること」は最近になって徐々に認知され始めたものです。
芸能人は「普通の一般的なサラリーマンよりも給料のだから、多少の理不尽や誹謗中傷は受け入れろ」という考えが私たちの間にもあります。
【有名税は覚悟せよ】
経営者にしろインフルエンサーにしろ表に顔出しして出ると決めた以上、覚悟することは必須。
度を超えた批判や的のズレた発言ならともかく主観は違う。
主観的な悪口は仕方ない。嫌なら出なければ良い。選択は自由だ。
出る分の対価はあるハズだ。芸能人が芸能人である理由。
— からくり兄貴 (@karakuri1985) February 16, 2019
芸能人にとってファンは重要な要素であり、一定数の「有名税を仕方ないと思う人」がいる以上は、プライベートや肖像権が侵害されたとしても目くじらを立てるべきではないという考えがあります。
そして、(徐々に変化していますが)もし裁判を起こした場合には「小さいやつ」などと新たな誹謗中傷を受けてしまうこともあります。
準公人は肖像権を侵害しても良い?:事例が少ないだけ
政治家などの公務員のことを公人と呼びます。
政治家などの公務員にも肖像権はありますが、公共目的の場合には肖像権を侵害しても良く、違法性はないと一般的に考えられています。
芸能人も政治家のように社会的に影響力がある人とみなされるため、「準公人(公人のような人)」や「見なし公人」と呼ばれることがあります。
本来は公人にも肖像権は存在し、何を撮影して公表しても良いという訳ではありませんが、基本的に裁判沙汰になることが珍しいです。
また、政治家の場合はその活動は国民のためであるため、私たちには「知る権利」があり報道機関には「報道の自由」が存在します。
公共の福祉の観点からも、肖像権よりも政治家が国民のために何をしてくれているのか?ということが明確に封じられることが優先されています。
準公人である芸能人も、社会的な影響力の大きさなどから同じように個人の権利よりも「知る権利」や「報道の自由」が優先されると考えられています。
そのため、準公人である芸能人も同様に何を撮影して公表しても良いという考え方が広まっています。
しかし、最近では芸能人にもプライバシーや肖像権があり、何をしても許される訳ではないという考えが芸能人自身や世間から出てきています。
不倫報道の場合には記者会見を開いて謝罪する必要があるのか?当人同士で解決すればそれで良いのではないか?という議論がなされることがあります。
親告罪だから訴えようとしない
週刊文春の報じるスクープは名誉毀損やプライバシー・肖像権の侵害であるものばかりです。
傷害や強盗のような刑事事件ではないため、私たちがどれだけ週刊文春が人間としておかしい報道をしていたとしても、警察が週刊文春の記者を逮捕することはできません。
名誉毀損やプライバシー・肖像権の侵害は、今の法律では親告罪です。
私たち第三者ではなく、当事者である芸能人本人や事務所といった関係者が提訴しない限りは裁判が起こらない仕組みになっています。
もし名誉毀損やプライバシー・肖像権の侵害で訴えたとしても、勝訴できたとしても大した金額を罰金として請求されることがありません。
(名誉毀損)
第230条
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。引用:WIKIBOOK
実際の例では、週刊文春という全国的な雑誌が起こした事件なので影響力を鑑みて200万円程度の支払いが命じられることが多いです。
見返りの少なさや、芸能人が有名税を受け入れないで裁判を起こすことを非難する人がいる現状から、今でも裁判を起こさない人が多いと言えます。
裁判で真実が暴露されるリスクがあり訴えない
裁判は公正でなければなりません。
あらゆる関連情報が裁判所に提示され、虚偽の報告があった場合には裁かれることになります。
もし、芸能人や政治家にとってもっと隠しておきたいことがある場合には、不必要に裁判を起こしてしまえば疑惑ではなく事実として公表されることになります。
あくまでこれは可能性の話であり、すべての芸能人や政治家が隠し事があるから裁判を避けている訳ではありません。
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週刊文春の取材は違法ではないのか・なぜ潰れない?
週刊文春の取材は違法ではないのでしょうか?
どのようなスタンスで週刊文春は取材、スクープを報じているのでしょうか?
週刊文春の取材は違法で敗訴している
週刊文春の取材内容は虚偽であり、名誉毀損やプライバシーや肖像権を侵害しており違法だとして、裁判で敗訴している例はあります。
週刊文春の取材が違法ではないと言い切ることはできません。
また、芸能人や政治家などがスクープ記事に対して裁判を起こしにくい傾向にあるというだけで、実際には何度も裁判が起こされています。
近年行われた裁判の一部を紹介します。
2002年3月 | ジャニーズ事務所がジャニー喜多川の児童虐待等の記事を受け提訴 | 文春勝訴? (控訴し、880万から120万円へ賠償額減額) |
2010年5月 | ユニクロの親会社が記事内容が真実と異なるとして2億2000万円の損害賠償請求 | 文春勝訴 |
2012年6月 | 巨人軍・原監督が元暴力団員に1億円を払ったと報じ、名誉毀損で提訴 | 文春勝訴 |
2012年7月 | 日本経済新聞社社長と女性デスクの関係を報じ、提訴 | 上告棄却・文春敗訴 (1210万円の賠償・謝罪広告・記事削除) |
2012年9月 | 当時の宮崎県知事・東国原英夫と女性職員の関係を報じ、名誉毀損2200万円の損害賠償請求 | 文春敗訴 (220万円の賠償) |
2013年5月 | 自民党候補が暴力団との関係アリと報じ、名誉毀損で提訴 | 文春敗訴 (損害賠償・1年間の謝罪文掲載) |
2013年10月 | イオングループで中国猛毒米偽装と報じ、1億6000万円の損害賠償請求 | 文春勝訴? (控訴し、2500万から110万円へ賠償額減額) |
2015年ごろからはほとんど裁判が行われたと大きく報じられた例はありません。
2010年前半までは頻繁に裁判が行われていましたが、そこから反省を活かし記事内容の精査が行われていると考えられます。
また、賠償額も基本的には200万円以下であることが多く、1000万円以上の請求が命じられているものは個人の尊厳を侵したものに対してである傾向が見られます。
2013年10月のイオングループの偽装問題に関しては高額請求であり、記事内容が企業の不正を暴く類いのものだったことから、一審では2500万円の賠償請求が命じられましたが、報道業界を萎縮する可能性があるとして減額されました。
週刊文春が違法にならない対策:裏付けと弁護士の指導
昨今の風潮として、政治家や芸能人といった公人・準公人であってもプライバシーや肖像権が侵害されることを見過ごさない傾向にあります。
社会全体として、厳罰化が求められており名誉毀損などについても、損害賠償を求められやすいと言えます。
弁護士ドットコムニュースで当時の週刊文春編集長・新谷学は週刊文春の報道姿勢や裁判対策を次のように話しています。
ーー訴訟対策にはどう取り組んでいるんですか?
「おそらく読者のみなさんが思っているよりも、しっかり証拠固めをしていると思います。噂レベル、推測レベルで書くようなことは決してせず、事実であることの裏付けや、事実と信じるに足りる『相当の理由』を入念に調べています。」
- 証拠の有無
- 証言者は訴訟になっても陳述書や証言台に立つか
といった点に関しても対策をした上でスクープを報じていると言います。
また、弁護士との相談も行っていると言います。
「デスクが顧問弁護士と相談しながら進めるケースもあります。記事のリーガルチェックのために、ちょっとでも危ないと思ったら、必ず顧問弁護士に原稿を読んでもらいますね。弁護士のアドバイスには基本的に全部従います。」
かつてはある程度脇の甘さがありましたが、裁判で敗訴することが多くなったことから原因を分析し、記事の裏付けを徹底するようになりました。
私たちが「くだらない記事」や「うざい」と感じる可能性はありますが、記事の真偽に関しては間違いないことが多くなっていると言えます。
また、盗撮ではなく取材をされていることを相手も認識した状態の映像や写真を使うことを意識していると言います。
週刊文春はなぜ潰れない?
週刊文春の記事は芸能人・アイドルのファンを苛立たせることが多いです。
知りたくもないアイドルのスキャンダル・熱愛を報じられて、世間が騒ぎ立てるサマを見ていい気持ちはしません。
人の楽しみを奪う文春さん早く潰れないかな
— しろじゅ〜🇫🇷♥️♦️♠️♣️ (@shiroju2525) November 9, 2018
文春が潰れない理由はひとえに、売り上げが良いからに他なりません。
出版業界が冷え込んでいる中でも、毎号1億円以上の売り上げだと言われています。
人の不幸を喜ぶように人間は出来ており、芸能人のスキャンダルを見て騒ぎ立てたいと思っている人が一定数、居続けます。
裁判でも勝訴や敗訴であっても賠償額の減額に成功していることから、行為そのものが悪であるとは言えません。
また、不倫などのスキャンダルはそもそも芸能人自身がしなければ良いのも事実です。
わざわざ報じる必要はないという意見と、影響力のある公人・準公人は私たち国民にとって規範的であるべきだという意見もあります。
そして、週刊文春以外の雑誌や新聞はスクープを報じることにあまり積極的ではありません。
週刊文春が裁判対策を洗練する必要に迫られていたことからも、裁判で敗訴する可能性がある記事は執筆させない傾向にあると言えます。
その中でも、事実を報じたいという意思をもった人たちは週刊文春に集まるでしょう。
事実上、スクープ記事は週刊文春が一強状態にあります。
私たちがスクープ記事の内容について、くだらない・うざい・潰れろと思うかどうかはまた別問題ですが、この点は売れてしまうのだから企業としてはスキャンダル記事を書き続けることは間違いありません。
まとめ
・プライバシーや肖像権の侵害で訴えられないのか
ファンにとっては知りたくないことであり、本人たちにとっても知られることを目的としてやっている訳でもないことを写真や動画を撮影して勝手に記事にすることはプライバシーや肖像権の侵害です。
・有名税とイメージ保護
勝手に盗撮されて記事にされても訴えない理由には、昔からよく言われる「有名税」が挙げられます。
・準公人は肖像権を侵害しても良い?:事例が少ないだけ
本来は公人にも肖像権は存在し、何を撮影して公表しても良いという訳ではありませんが、基本的に裁判沙汰になることが珍しいです。
・親告罪だから訴えようとしない
名誉毀損やプライバシー・肖像権の侵害は、今の法律では親告罪です。
私たち第三者ではなく、当事者である芸能人本人や事務所といった関係者が提訴しない限りは裁判が起こらない仕組みになっています。
・裁判で真実が暴露されるリスク
もし、芸能人や政治家にとってもっと隠しておきたいことがある場合には、不必要に裁判を起こしてしまえば疑惑ではなく事実として公表されることになります。
・週刊文春の取材は違法で敗訴している
週刊文春の取材内容は虚偽であり、名誉毀損やプライバシーや肖像権を侵害しており違法だとして、裁判で敗訴している例はあります。
・週刊文春が違法にならない対策:裏付けと弁護士の指導
- 証拠の有無
- 証言者は訴訟になっても陳述書や証言台に立つか
といった点に関しても対策をした上でスクープを報じていると言います。
・週刊文春はなぜ潰れない?
文春が潰れない理由はひとえに、売り上げが良いからに他なりません。
出版業界が冷え込んでいる中でも、毎号1億円以上の売り上げだと言われています。
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