出生地や出身地、本籍地といった表現があります。
今回は、出生地と出身地・本籍地の違いは何か?
英語での言い方はどう表現するのか、生まれた病院が出生地なのかを解説します。
出生地と出身地・本籍地の違いは?
出生地と出身地・本籍地の違いは何でしょうか?
出生地と出身地・本籍地の違い:法的拘束力と変更可能か
出生地と出身地、本籍地の違いは法律で決められているものと、後から変えられるものといった違いがあります。
まとめると次のようになります。
名称 | 特徴 |
出生地 | 戸籍に記載される。 生まれた住所で決まる。 |
出身地 | 法的に決まりはない。 自分の感覚で主張して良い。 |
本籍地 | 戸籍に記載される。 自由に決めることができる。 |
それぞれについて簡単に説明を加えると
出生地
出生地は感じが示す通りに、出生した場所のことです。
戸籍にも記載されるもので、生まれた場所は二度と変えることができません。
出身地
出身地は法的に決められた表現ではありません。
一般的には、今まで生きてきた中で最も長く過ごした場所のことを指したり、青春などの自分にとって最も影響を与えた時期を過ごした場所のことを指します。
言ってしまえば、言ったもん勝ちです。
本籍地
本籍地は本籍というものが置かれている所在地のことです。
結婚や引っ越しなどを機に、変更することが一般的です。
法的に決められたものですが、自由に決めることができます。
出生地とは産まれた病院?:戸籍謄本で確認可能
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出生地は出生場所を指します、つまりお母さんがあなたを出産した場所のことです。
この意味において、出生地とは生まれた病院を指すという理解で間違いはありません。
赤ちゃんが生まれると14日以内に出生証明書(出生届)を提出する必要があります。
下の画像のようなものです。
「出生したところ」という項目には病院の住所が記載されています。
そして、出生証明書に記載された住所が出生地として戸籍にも記載されることになります。
出生地の確認は出生証明書・戸籍謄本を取り寄せることによって知ることができます。
もちろん、あなたがこの世に生を受けた場所は一つしかありえないため、二度と出生地を変更することはできません。
戸籍謄本には下の画像のように出生地が記載されています。
ESTAなどで出生地を記入する欄がある場合には、重要度がそこまで高くないこともあり都道府県名でも市町村名のどちらでも構いません。
出身地を聞かれたら?:どこでもよい
出身地を聞かれた場合に何と答えれば良いのか?という質問には明確な答えはありません。
法的に決められたものでないため、自分が言いたいように言えば良いです。
- 出生地を答える
- 本籍地を答える
- 育った場所を答える
- 自分にとって思い入れのある場所を答える
- 適当に答える など
どれをしてもいけないことはありません。
また、場所を答える際にも
- 都道府県名
- 市町村名
- 有名な建物の近く(例:太陽の塔の近く) など
答え方にも決まりは一切ありません。
「出身地はどこ?」という質問がされる場面というのは、自己紹介であったり初対面のときに話を膨らませて打ち解けるためです。
言ってしまえばその後の話が膨らむのであれば、どのような答え方をしても構いません。
出身地を聞かれて答え方に困るのであれば、とりあえず「生まれ故郷」を答えておけば良いでしょう。
国土交通省が出身地の定義を「生まれてから15歳までの間、一番長く過ごした場所」としたというデマが流されていますが、情報源を確認することはできません。
本籍地って何?:戸籍が置かれた市町村
本籍地は戸籍法によって定められたあなたの戸籍が置かれている・管理している市町村のことです。
本籍地の確認は戸籍謄本(戸籍証明書)を役所で取得すれば確認することができます。
全国一律で450円で取得できます。
市町村によって様式が微妙に異なりますが、基本的には下の画像のようなものです。
本籍地は日本国内で地番が定められている場所であれば、どこでも本籍を置くことができます。
転籍届を提出すれば基本的には好きなように動かすことができます。
住所は実際に住んでいる必要がありますが、本籍地は住んでいる必要がないため
- 住所と同じ場所
- 実家のまま
- 思い出の場所(東京タワー) など
好きなように決めて構いません。
ただし、パスポートの取得などで戸籍謄本の発行が必要になることがあります。
その際には本籍地の役所に発行をお願いする必要があるため、郵送で発行を依頼することになります。
費用も日数もかかってしまうため、実用面を考慮すれば住所と同じ場所にしておいたほうが良いでしょう。
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出生地と出身地・本籍地の英語での言い方や違いは?
出生地と出身地・本籍地を英語で表すとどのような言葉になるのでしょうか、その違いについて見ていきましょう。
出生地の英語訳:birthplace
出生地は漢字が表す通りに、生を受けた場所を指します。
小学館プログレッシブ和英中辞典によると
- birthplace
という訳が示されています。
出身地の英語訳:複数の訳語
出身地は法的に定義されていません。
自由に自分が思う出身地を答えれば良いものです。
小学館プログレッシブ和英中辞典によると
- the place where one was born
- native place
- hometown
という3つの訳が示されています。
日本語における出身地の解釈にブレがあることを反映するかのように、英語訳においても定まっていないことが伺えます。
「the place where one was born」は意味的には出生地と似た表現です。
「native place」の「native」には起源・出生地といったニュアンスも含まれますが、性格特性といった後天的特徴を指す場合があるため、育った場所という訳もできます。
「hometown」はまさに故郷・ふるさとといった訳ができる言葉です。
LEXICOによれば、hometownの例文として
The town of one’s birth or early life or of one’s present fixed residence.
という文章を示しています。
訳すると、「hometownとはその人の出生地・幼少期を過ごした場所・現在生活している場所」ということになります。
やはり、出身地の解釈には英語においても自由度が高いと言えます。
本籍地の英語訳:registered domicileかpermanent domicile
本籍地は戸籍が置かれている・管理している市町村のことを指します。
日本の戸籍や本籍といった制度が英語では存在しないことから、非常に訳が何回になっており、
小学館プログレッシブ和英中辞典によると
- the locality where one’s family register is kept
という説明文になってしまっています。
日本政府が発行するパスポートにも本籍を示す箇所があり、そこには
- registered domicile
と訳されています。(下の画像)
「registered domicile」は直訳すると「登録された住所」ということになります。
法務省の「日本法令外国語訳データベースシステム」においても本籍の訳語として使われているため、最も適切な訳だと言えます。
まとめ
・出生地と出身地・本籍地の違い:法的拘束力と変更可能か
出生地と出身地、本籍地の違いは法律で決められているものと、後から変えられるものといった違いがあります。
・出生地とは産まれた病院?:戸籍謄本で確認可能
出生地は出生場所を指します、つまりお母さんがあなたを出産した場所のことです。
この意味において、出生地とは生まれた病院を指すという理解で間違いはありません。
・出身地を聞かれたら?:どこでもよい
出身地を聞かれた場合に何と答えれば良いのか?という質問には明確な答えはありません。
法的に決められたものでないため、自分が言いたいように言えば良いです。
・本籍地って何?:戸籍が置かれた市町村
本籍地は戸籍法によって定められたあなたの戸籍が置かれている・管理している市町村のことです。
・出生地と出身地・本籍地の英語の違いは?
- 出生地の英語訳:birthplace
- 出身地の英語訳:複数の訳語
- 本籍地の英語訳:registered domicileかpermanent domicile
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