凶悪犯罪がニュースで取り上げられ厳罰化を求める声が多くあります。
今回は、性犯罪を含めた犯罪の厳罰化は抑止力として効果があるのか、それとも無意味でデメリットがあるのか?
また、性異常者になってしまう原因や再犯の理由について見ていきましょう。
性犯罪の厳罰化は無意味でデメリットは何?
性犯罪を含めた犯罪の厳罰化は無意味でデメリットのあることなのでしょうか?
性犯罪の厳罰化が国会で成立
2017年6月、性犯罪に関する改正刑法が国会で成立しました。
この改正にあたり、次のような変更がありました。
強姦罪から強制性交等罪へ名称変更 | 被害者を女性に限っていたものを、性別を問わない形に。 |
厳罰化 | 強姦罪の法定刑の下限を懲役3年から5年に引き上げ。 |
非親告罪化 | 被害者自身の告訴でなくても起訴できるように。 |
親の性的虐待の処罰 | 子供に対して暴行・脅迫がなくても性的虐待をした場合は処罰される。 |
厳罰化と言われていますが、それでも最短で5年で出所してくることを考えると、被害者にとっては一切傷は癒えておらず、すぐに復讐に現れるのではないかという恐怖に怯えながらの生活がやってくることになります。
厳罰化や全体的な見直しが行われたものの、十分ではないという声もあります。
性犯罪の厳罰化は無意味でデメリットは?
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厳罰化に関しては否定的な意見もあり、抑止力としての効果は乏しく「根本的には罰を与えて反省を促して再犯を防ぐことにある」のであれば、厳罰化ではなく更生プログラムのあり方こそ問われるべきだとの声があります。
今後、刑期の下限が3年から5年に引き上げられることで厳罰化がなされます。
それによってどれほどの抑止力としての効果や無意味なものかが明らかになってきます。
少なくとも現時点では性犯罪の再犯率は高いものです。
人数 | 全体に占める割合 | |
性犯罪再犯者 | 207人 | 13.9% (全再犯者のうち67.4%) |
全再犯者 | 307人 | 20.7% |
調査対象者合計 | 1,484人 | 100% |
上の表は平成27年版 犯罪白書によるもので、出所は1,484人に対するその後の追跡調査における再犯者数を表しています。
再犯者の中に占める性犯罪の割合は67.4%にものぼっています。
刑期が延びることによって再犯率が低下するかは明言できません。
しかし、被害者感情としては少しでも長く絶対に接触する可能性のない状態が続くことを願っています。
再犯をする理由は社会復帰が困難であることが多いですが、それにしても性犯罪の再犯者数が多すぎると言えます。
ここには単純に社会復帰が困難だという以外の性犯罪を繰り返しやすい根本的な原因があるように考えられます。
アメリカのほとんどの州では有罪判決を受けて禁固刑を終えた犯罪者は、居住する州で性犯罪者として登録することが義務付けられています。
登録にあたり規定を遵守するよう求められ、違反が発覚した場合には処罰がなされます。
州によって登録が一生残り続けるものや、犯罪の程度で行動の制限に違いがあります。
また、別の州に移る場合には新しい州で登録する必要があり、一定期間内に登録を完了しない場合には処罰が課されることがあります。
登録された性犯罪者はインターネット上で確認することができるようになっています。
常習性が高く、金に困ってだとか憎しみによって起こるような犯罪とも異なり、自身の性欲を満たすためにのみ行われる性犯罪だけあり、治りようのないものとして対処するしかないのかもしれません。
その意味においては、たとえ厳罰化がなされたとしてもそれを理由に性犯罪を働かなくなるとは言えない可能性があります。
現状の厳罰化で刑期を延ばす方向ではなく、アメリカの例のように出所後の行動に制限を加えられる形の厳罰化でなければ無意味と言えそうです。
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性異常者の原因や性犯罪・再犯の理由は?
性異常者の原因は何でしょうか?
また、性犯罪者の再犯の理由にはどのようなものがあるのでしょうか?
性異常者の原因は何か?
性犯罪を犯したものは出所後も同じく性犯罪を繰り返すことが多いことなどから、性犯罪を犯す者にはどこか性異常者といった、普通の人間ではない部分があるのではないか?と考えがちです。
いわゆる「性依存症」というものが原因と言われるものもあります。
性異常者も性犯罪を犯すまでは普通の人間として生活することができており、未成年の性犯罪も存在するので一概には言えませんが、大人になり社会人として働いている人が性犯罪を犯しています。
つまり、何かのきっかけによって性異常者・性犯罪者になると考えられます。
遺伝的な原因があるのではないかと言われたり、家庭環境に問題があるから性異常者になるのだと言われたりすることがあります。
しかしこれらの憶測に対して明確に、家庭環境や遺伝が性異常者の原因だという証明はなされていません。
教育現場においても毎週、毎日のようにどこかの学校で教師や生徒が性犯罪を犯したというニュースが報じられています。
普通の会社員がある日、痴漢や強姦などをして逮捕されることがあります。
未成年者の起こした凶悪殺人などが報道されると、大抵の場合、暴力的なゲームや映画・漫画などを趣味にしていることが原因になったと言われます。
同じく、性異常者が性犯罪を犯した時にも痴漢や強姦モノのAVなどが見つかったり、未成年者に対する性犯罪者の場合はそうした映像を所持していたことが伝えられます。
あくまで科学的に性異常者の原因が証明されていないため、憶測や経験則でしかありませんが性異常者となりうる原因は誰しもが持っていると言えます。
根本的に存在しているのは「弱者と強者」といった闘争本能にあります。
セクハラなどが一つの例ですが、上司などといった立場を利用して反抗できない弱者である部下に対していやがらせをして自分を安心させたい、あるいはいやがらせをして相手の苦しむ姿に快感を求めていると言えます。
性犯罪者の多くはストレスのはけ口や性的衝動に駆られて性犯罪を犯していると言われています。
ただ、ストレスは誰しも抱えていますし性的衝動も性犯罪者に限ったことではなく持っています。
多くの場合はそうしたストレスの発散方法や性的衝動の治め方や処理をすることができますが、「時間的にも精神的にも余裕がないとき」というのが一つの条件として考えられます。
そのような状態において、周囲に自分にとって弱者となる対象がいることで性異常者が性犯罪を犯すことになります。
- ストレス・性的衝動
- 周囲に弱者がいる
この2つが性異常者を生み出す原因と言えます。
そして多くの性犯罪はどんどん犯行がエスカレートしていきます。
セクハラをきっかけとした場合は、相手の抵抗ができにくいことを良いことに、「相手が抵抗してこないのは同意を得ている」というように自分に都合のいいように正当化させます。
そして根本的にはいやがらせ、相手をいじめて苦しめたいと思っているため、自分で正当化しておきながらも反抗してこない相手に対してさらに苛立ちを募らせエスカレートしていくことになります。
男に性異常者や性犯罪者が多い理由はストレスや性的衝動に加え、周囲の弱者が女性の場合よりも多いことが挙げられます。
立場のような属性だけでなく、肉体的にも相手が自分よりも華奢な女性という「弱者」と捉えやすい状況にあります。
つまり語弊を恐れずに言えば男であることが性異常者の原因とも言えます。
私自身にも攻撃的な性格や弱者をいじめたいといった考え方はあります。
私の経験だけで言えば、そうした自覚がなく「自分は性異常者や性犯罪者になることなんてありえない」と言っている人間ほど、少しのきっかけで事件を起こすさまを見てきました。
性犯罪の再犯理由は?
性犯罪を犯した人間は繰り返し性犯罪を行う場合もあれば、そうでない場合もあります。
また、性犯罪者が刑務所などで服役した後に性犯罪を再び犯すこともあれば、他の犯罪で逮捕されることもあります。
ただし、傾向としては痴漢を犯した人間は再犯をして再び刑務所に入所する数が多いようです。
性犯罪の再犯理由には、性依存症が克服されていないことが挙げられます。
再犯に関しては社会復帰の制度が充実していないことも一つの要因と言われています。
これは性犯罪に限ったことではなく、一度でも刑務所などに入所した人間が再び仕事や住居を得て生活することが難しい現状があります。
仕事がなければ日々の食費もままならず、住居がなければ銀行口座も保険証を作ることもできません。
社会復帰ができないことから、自分がやったことのある犯罪を繰り返して再び刑務所などに戻ってくるケースは少なくありません。
社会復帰できないことを再犯理由とした場合を除くと、性犯罪を犯したときと同じくストレスや性的衝動が再犯理由と言えます。
まとめ
・性犯罪の厳罰化が国会で成立
2017年6月、性犯罪に関する改正刑法が国会で成立しました。
・性犯罪の厳罰化は無意味でデメリットは?
常習性が高く、金に困ってだとか憎しみによって起こるような犯罪とも異なり、自身の性欲を満たすためにのみ行われる性犯罪だけあり、治りようのないものとして対処するしかないとも考えられ、たとえ厳罰化がなされたとしてもそれを理由に性犯罪を働かなくなるとは言えない可能性があります。
・性異常者の原因は何か?
- 性依存症
- ストレス・性的衝動
- 周囲に弱者がいる
・性犯罪の再犯理由は?
性犯罪の再犯理由には、性依存症が克服されていないことが挙げられます。
再犯に関しては社会復帰の制度が充実していないことも一つの要因と言われています。
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