邦画

ミックス映画の特訓シーンで流れた挿入歌は誰の曲?SHISHAMOのサボテンの歌詞の意味を考察

映画「ミックス。」にはSHISHAMOが2曲を提供しています。

今回はその挿入歌として使われているSHISHAMOの「サボテン」について、その歌詞に込められた意味や制作の経緯について考察したいと思います。




挿入歌「サボテン」が流れるシーンは?

映画「ミックス。」の中盤で1度目の卓球大会で惨敗したフラワー卓球クラブのメンバーが、気持ちを新たに来年の大会に向けて特訓をしているシーンで挿入歌「サボテン」が流れます。

足の故障が治り、川原沿いを走り始める多満子(新垣結衣)の気持ちの高鳴りを表すかのように曲が始まるのでとても印象的なシーンになっています。

挿入歌「サボテン」の制作の経緯は?




映画「ミックス。」のためにSHISHAMOが提供した曲はこの挿入歌「サボテン」と主題歌「ほら、笑ってる」の2曲です。

映画のために作曲するのは初めてだったSHISHAMOはオファーを受けた時はびっくりしたそうですが、楽しんで制作に臨めたそうです。

既存のテーマではなく、2曲ともこの映画のために完全書き下ろしした楽曲です。

挿入歌「サボテン」は劇中で多満子(新垣結衣)が走っているシーンをイメージして疾走感を大事にして制作されました。

実際に特訓の1年間を全力で走り抜けた様子を引き立ててくれています。

挿入歌「サボテン」の歌詞の意味は?

主題歌「ほら、笑ってる」にはMVが存在して公開されているのですが、挿入歌「サボテン」にはMVが存在しません。

聴いていただければ、アップテンポの心地よいメロディに乗せた曲調に元気をもらえて、まさに多満子(新垣結衣)のテーマソングというくらいのキラキラさです。

では、映画「ミックス。」のために書かれた歌詞の意味を考察していきましょう。

挿入歌「サボテン」の1番の歌詞に込められた意味を考察

王子様にプロポーズされるとか
そんな幸せを願ったことは一度もなくて

1番Aメロです。

映画「ミックス。」とリンクさせられており、映画の冒頭で「王子様が救い出してくれることなどない」という多満子(新垣結衣)の回想が入ります。

鬼のようだった母から救い出してくれる王子様も、総務課でやりたくもないチアリーディングや無様な醜態、結果的に呼ばれない合コン要因の現実から救い出してくれる王子様にときめいてみた瞬間を思わせます。

ここからもこの曲が多満子(新垣結衣)の人生の瞬間を収めた多満子のための曲であることがわかります。

幸せを願ったこと一度もない、と言ったそばから「一度はあるかも」と微妙に否定する様子がけなげで報われない恋をしてきた多満子(新垣結衣)の屈折した心理を思わせます。

宝くじが当たるとか
王子様にプロポーズされるとか
そんな幸せを願ったことは一度もなくて
いや、一度はあるかもしれないけど

だけど降り注ぐのは嫌なことばかり

(中略)

思い出したくもない彼の顔だったりする

2ブロック目の冒頭が「だけど」から始まるところが面白いですね。

文章的には全く「逆説のだけど」でつなぐようなところではありませんが、気持ちの上では王子様のことを想像していた自分を認めたときに、かつての一瞬でも救われることを信じた自分になっていたのです。

そんな自分を現実に戻らせる「いやいや、そんなうまくいかなかったじゃん私の人生」とツッコむための「だけど」です。

そして思い出すのは恥ずかしい経験の数々・・・。

もちろんここでの「思い出したくもない彼」とは江島(瀬戸康史)のことで間違い無いでしょう。

幼少期から卓球まみれの人生でねじ曲がり、大人になっては夢見た王子はエセ王子。

そんな彼とのことを少しでも思い出そうとすれば、ことごとく嫌なことばかりが思い出されてしまう現状がここまでで説明されています。

だけどもうやめるんだ

(中略)

小さな幸せ 数えるんだ

1番Bメロです。

1番Aメロの2ブロックと同じく「だけど」を重ねてきます。

1番Aメロの「だけど」は過去と過去の分かれ目として使われていましたが、2番Bメロの「だけど」は過去と現在を分かつために使われています。

ここで描かれている光景は映画では出てきませんが、酒におぼれてぬいぐるみをひきちぎり、「うにゃー!!」っと叫んでいたワンルームのシーンの後にはもしかしたらこんな決意の朝があったのかもしれません。

「小さな幸せ」というフレーズは主題歌「ほら、笑ってる」にも出てきます。

私の毎日はぐるぐる回っていく

(中略)

心が痛くたって 涙が止まらなくたって

(中略)

私だって走るしかないじゃない

1番サビです。

サビなのでメインとしてこの曲で主張したいことが表現されています。

多満子(新垣結衣)が走っているシーンで使われることを想定して作られたことを考えると、ぐるぐる回る毎日は刻一刻と迫る大会に向けての特訓の日々にかける思いの重さを物語っていると言えそうです。

ブランクがある自分が引っ張っていかないといけない状況であったり、単純に大会のために卓球をがんばるというシンプルさではなく、その先にはライバルとしてかつての恋人の「思い出したくない彼」との対戦が待っていることなど・・・。

映画では必死に特訓に励む多満子(新垣結衣)の描写がコミカルに描かれていましたが、歌詞には多満子の裏側の気持ちや葛藤が込められています。

ぐるぐる回っているのは繰り返す日常だけでなく、「思い出したくない彼」への裏切られ続けたけれど割り切れない思いもあるかもしれません。

挿入歌「サボテン」の2番の歌詞に込められた意味を考察

今日もまた転んだ

(中略)

大丈夫なふり
慣れてるふりをするのは慣れてる

だけどこう思うんだ
たくさん傷ついた私のハートは

(中略)

強くなって輝いてる

2番Aメロです。

「今日もまた転んだ」は劇中で思い出されるのは壮行会のチアリーディングでずっこけてテーブルの料理をぶちまけるシーンですが、もう少し抽象的な意味合いでしょう。

ただ、何かと書類運びで失敗したりしていた多満子(新垣結衣)のことを思うと、実際に転んだという解釈も間違っていないかもしれません。

「慣れてるふりには慣れてる」というフレーズはすごく的を射た言葉です。

失敗する人間は失敗することに鈍感になっていくんだろう?と思われるかもしれませんが、そうではない人の方が多いです。

多満子(新垣結衣)の場合は特にそうで、心の中では失敗してしまった自分にいつも嫌になっているけれど、それを表に出せるような可愛げのある女の子にはなれない自分。

失敗して落ち込んでいることを気取らせないために慣れているふりをして隠してしまっている。

2番Aメロ2ブロック目の冒頭の「だけど」は内面と外面を分ける意味合いとして使われています。

外に向けては、失敗を気にしていない慣れているふりをしている自分だけれど、内面としては傷ついている。

でもそれを「ただの傷」とするのではなく、傷ついた分だけ強くなっていると思おうという強さと決意が表れています。

だからもうやめるんだ
通り過ぎた景色に思い馳せて
涙をぽつりとこぼしたり
弱音を吐いたり
そんなのはもうやめるんだ

2番Bメロです。

1番とは違い、2番Bメロは「だけど」のかぶせではありません。

引き続き内面の決意が続きます。

「思い出したくない彼」とは違い、多満子(新垣結衣)は裏切られた悲しみや失恋のショックをしっかりと噛みしめていたことが分かります。

2人で通り過ぎた景色への思いを断ち切ることが結局はできなかったから、退職して田舎に帰ってくることで解決しようとしたのでしょう。

ダメ押しのごとく何度も「もうやめるんだ」と言い聞かせるということは、それだけやめられないことの証であり、意識すればするほどできなくなってしまいます。

この挿入歌のあとに待っている「思い出したくない彼」との再会に心が揺れるシーンへの伏線とも言えます。

平凡だと誰かに笑われても

(中略)

私だけの幸せを探すんだ

2番サビです。

1番サビと最初の2行は同じです。

3行目以降で語られているシーンは母の死後からやり始めた「今までできなかった普通の平凡な人生」を必死に生きようとしている自分の姿です。

必死に普通の平凡な人生を送ろうとしますが、普通で平凡を意識しすぎた生き方はきっと周囲には滑稽にも映ったのでしょう。

卓球では鬼コーチだった母の指導があっても1位にはなれなかった自分も、普通で平凡な生き方ならば1位になれるんじゃないか?そんな思いが込められています。

挿入歌「サボテン」の大サビの歌詞に込められた意味を考察

どうして走るの?って
私が一番聞きたいよ

Cメロです。

間奏後のCメロでは場面は現在に戻されます。

「どうして走るの?」に似た疑問を萩原(瑛太)に多満子(新垣結衣)がぶつけるシーンが思い出されます。

「やらなくてもいいのに、辛い練習を一緒に頑張ってやってくれるのはなぜ?」と。

あの質問は自分自身に向けての質問だったのかもしれないと思わせてくれます。

萩原(瑛太)はこの質問に対し「好きになっちゃったのかもしれない」と答えます。

そのシーンで多満子(新垣結衣)は自分を好きになったのか卓球を好きになったのかどちら?という戸惑いを見せる表情をするのですが、その沈黙にはそれだけではなく、自分自身も卓球を続けているのが「好きだから」ということを自覚するひとつのきっかけになっていたのかもしれません。

 

大サビです。

大サビは1番サビと2番サビの繰り返しです。

ここで興味深いのは2番サビで使われた歌詞のところです。

2番サビでは過去の平凡を追い求めていた自分を肯定する意味合いで使われていた歌詞がなぜ大サビのラストで繰り返されているのか?

ここで「平凡」という言葉の意味が母に強制させられた卓球人生から解放されて掴もうとした普通の人生を指したものではない、別の解釈が生まれます。

Cメロ部分を乗り越えた上でのこの大サビということは、試合の結果が報われないとしても努力を続ける自分は間違いじゃないということを肯定する意味が含まれます。

たとえ優勝できなかったとしても、必死に特訓をして積み上げてきたものがきっとある。

それは自分たちにしかわからないけれど、かならず幸せに思える何かなんだということを伝えてくれています。

まとめ

さて、今回は映画「ミックス。」の挿入歌としてSHISHAMOが書き下ろした「サボテン」の制作の経緯や歌詞に込められた意味について考察してきました。

歌詞に注目してみると、過去との決別を言い聞かせたり失敗してきた自分を恥じたりと悲しい内容になっているので、メロディのキャッチーさと違和感があることに驚きます。

しかし、この通りストーリーとリンクさせて考えていくと最終的には物語と同じく強くたくましくなった多満子(新垣結衣)を内面から表現した歌詞の素敵な曲だということが分かります。

 

ご拝読いただきありがとうございました。

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シゲゾウ
シゲゾウ
アラサーのエンタメ好き兄ちゃんデス。 教育関連の仕事に就いています。 エンターテイメントを肌で体感してあなたに新鮮な感動と興奮する情報をお届けします!!! やってみなきゃ分からない!をモットーに何にでも前のめりで挑戦していきます!!

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