アーバンイノシシという言葉が話題になっています。
今回は、アーバンイノシシとはどういう意味なのか、
東京にイノシシが出没・生息する理由や対策について紹介します。
アーバンイノシシとはどういう意味?
アーバンイノシシとはどういう意味なのでしょうか、またいつから呼ばれるようになったのか見ていきましょう。
アーバンとはどういう意味:都会っぽい
アーバンイノシシの「アーバン」は、たとえばアーバンライフやアーバンスタイルといった表現で用いられる言葉です。
英語 | 日本語訳 |
urban | 都会的な、都市風の |
この言葉自体は新しいものではなく、ファッション誌であったりビルや都市開発であったり、車などの紹介文として最先端を行くもの、オシャレさを表現するために使われることも多い表現です。
アーバンイノシシとはどういう意味:都会に住むイノシシ
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アーバンの意味が「都会的な、都市風の」といった意味を持つため、アーバンイノシシとは都会的なイノシシだと言えます。
これは決して新種のイノシシを指しているのではなく、
都会に生息するイノシシ
というだけの話です。
どういうわけか、アーバンイノシシという聴き馴染みのない言葉をテレビを中心に使い始めているようです。
インパクトのある言葉なので、確かに目に付くというメリットはありますがイノシシの恐ろしさが「都会、オシャレ」といった意味を持つ「アーバン」のせいで分かりにくくなっているように感じられます。
イノシシもクマなどと同じく、本来は山、森の奥に住んでいる動物です。
田舎や山道などでは鹿などと同じく目にする機会もありましたが、基本的には都市部で目撃されることはあまりなかったのですが、年々東京などの大都市でイノシシの親子などが目撃されています。
国分寺にイノシシ🐗がー😂昭島もテクテク歩いてたらしい😆干支が亥だけに他人の気がしない😓
亥は前しか見ないで爆走する傾向がありますので度々人様に迷惑をかけます故お気をつけ下さい😱 pic.twitter.com/z2c2VTm9Q0— 東野純直 12/21西川口ハーツ昼夜ワンマン (@SumitadaAzumano) December 16, 2019
ツイッター上でも一般人がふとした瞬間にイノシシを目撃する事態が多くなっています。
アーバンイノシシはいつから呼ばれるようになったか
アーバンイノシシという言葉がいつから使われ、都市部にやってきたイノシシのことをアーバンイノシシと呼ぶようになったかは不明です。
ただし、一つのきっかけとなったのはNHKのクローズアップ現代と言えます。
2019年5月8日に放送された「アーバン・イノシシ物語 ワシらが都会を目指すワケ」によってアーバンイノシシという言葉とともにイノシシの危険性が訴えられました。
この時の番組では福岡県に出没したアーバンイノシシの映像が放送されていました。
日本全国で都市部・市街地にイノシシが出没する事例が年々増加しています。
今後はアーバンイノシシという言葉が定着していくかはともかく、私たちにとってより一層身近で深刻な問題となる可能性があります。
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アーバンイノシシが東京に出没・生息する理由や対策は?
アーバンイノシシが東京に出没・生息する理由は何でしょうか?
また、アーバンイノシシに遭遇した際の対策や注意点について見ていきましょう。
アーバンイノシシが東京に出没・生息する理由
日本全国でイノシシが市街地に出没し、噛まれたり衝突事故を起こして死亡するなど深刻な事態に陥っています。
NHKによると、2019年12月15日にも東京都国立市のJR国立駅前や近くの住宅地でイノシシが出没しています。
アーバンイノシシは人に慣れているのか、積極的に向かってくる傾向があります。
専門家によると「都会の複雑な道に迷ってしまいどうしていいか分からなくなりパニックになることで、遭遇した人の対応に困って暴れてしまっている」と言います。
2017年に日本獣医生命科学大学濱部浩一教授が行った実験では、体重70kgのイノシシが2秒で時速24kmにまで加速したと言います。
この加速力の速さゆえに、狙われた場合には避けることは不可能だといいます。
牙を持っているため、たとえ避けられたとしても横に広がった牙が刺さる可能性が高いです。
2018年には静岡、福岡、兵庫でアーバンイノシシがバイクとの衝突事故を起こし、死者も出てしまいました。
2013年には埼玉県ふじみ野市の住宅地にイノシシが現れ、小学生に噛みつき怪我を負わせています。
しかし、ふじみ野市の半径20kmに山や森は存在せず、どこからイノシシが現れたのか原因をつかめずにいました。
その理由として、イノシシは細道や用水路が好きなため、そうした細い道を通って山や森から人里へとやってくると言います。
あるいは荒川につながる河原にイノシシの寝床があり、川をつたって海まで時間をかけて確実にやってくると分析します。
東京にもいくつもの河川がながれているため、徐々に時間をかけて川沿いにそってやってきたイノシシが住宅地で猛威を奮っていると言えます。
最近目撃情報が増えてきているのも、多摩川周辺のあきる野市であったり府中市でした。
イノシシは5歳で体調が1m50cm、体重は80kgにもなると言います。
山で生活しているイノシシの場合はより小ぶりなものが、都会に出没するイノシシはそれよりもひとまわり以上大きいです。
また、単純に人を襲うという被害だけでなく豚コレラとも関連しています。
野生のイノシシの中には豚コレラに感染しているものも報告されており、それらすべてを捕獲・殺処分することは現実的に不可能と言えます。
さらに環境省によると1990年時点に比べて3倍にもイノシシの数が増加していると言います。
年 | 頭数 |
1990年代 | 30万頭 |
2016年 | 89万頭 |
増加理由自体は判明していませんが、確実に私たちが目撃する機会が増えており、地球温暖化の影響ではないかと推測されています。
兵庫県神戸市ではイノシシがコンビニ裏に定住を始めている例があります。
民間の警備員が毎日パトロールをし、神戸市内での目撃情報は1年間に200回以上にものぼります。
神戸市内で捕獲されたイノシシは通常の3倍、160kgにもなっていました。
本来はミミズなどの昆虫であったり木の根っこを食べて生活しています。
しかしアーバンイノシシはそうした低カロリーの食べ物ではなく、人間と同じ飴やお弁当といった高カロリー食を手にしてしまいます。
生ゴミはイノシシたちにとっては食べ放題で奪われることもなく、栄養価の高い食べ物を食べられます。
また、人間はウリボーなどのように小さいイノシシを可愛いと思ったり、自ら攻撃してくるようなことはないため、アーバンイノシシにとって都市部は豊富なエサを得られる完璧な場所だと言えます。
このことを学習したイノシシたちは都市部での定住を始めていきます。
アーバンイノシシは日本だけでなく、香港や韓国、ドイツでも報告されています。
ドイツ・ベルリン市内には1万頭以上が定住していると言われています。
アーバンイノシシの原因の一つとして、人口が都市部に集中していること、農業人口の減少といったものが山や森で生活するイノシシの住環境を悪化させたと考えられています。
エサを探すために動き回る必要がない上に高カロリー食を摂取できるために、アーバンイノシシは巨大化しやすいです。
牙の生え方にも影響を与えており、本来は土を掘ってエサを探す際に使われます。
しかし、アーバンイノシシは土を掘る必要がないため、横に牙が伸び放題になります。
また、農業人口が減り山や森で生活する人間が減りました。
しかしそこにある木々は成長を続け、栗などは実をつけますが人間がとっていくことがないため、結果的にイノシシが食べられるものが増えていきます。
これがイノシシの頭数増加の一因と考えられています。
そしてイノシシの習性として密集した生活を嫌うため、頭数が増えたイノシシたちの一部は新天地を求めて都会へと流れ始めました。
もとはイノシシの天敵であるオオカミが存在していたため、イノシシの頭数増加はそこまで問題とされることがありませんでした。
しかし明治ごろにオオカミを害獣として絶滅させたことで徐々に自然界のバランスが崩壊します。
また、都市部の住民の中にはイノシシを可愛がろうとしてエサをやったり、ゴミの放置をする人もいるようです。
アーバンイノシシの対策
アーバンイノシシは野生のイノシシよりも体格が大きく、体重が3倍近くあるものも一般的です。
瞬間加速力があり、牙も生え放題なのでとても危険です。
万が一、アーバンイノシシと遭遇した際には自分の身を隠すことが効果的だと言われています。
- 物陰に身を隠す
- 高い場所に登る
- 傘などで自分の足元(イノシシの目線)を隠す
- 上着などでイノシシの顔を隠す
といったものが挙げられます。
上着などでイノシシの顔を隠すのはかなり危険なので、何も持つものがなかったり隠れたりできない場合には逃げることになります。
逃げる際に気をつけなければいけないのは、クマなどでも言われるように背中を向けてはいけないという点です。
背中を向けることでイノシシにあなたが弱い存在だと伝えることになります。
もちろん攻撃をするとイノシシも臨戦態勢を整えざるを得なくなります。
やりがちなのは、大きなイノシシはともかくウリボーは可愛いのでエサをあげたくなるかもしれませんが、イノシシの子供であるウリボーの近くには親のイノシシがいることが一般的です。
まとめ
・アーバンとはどういう意味:都会っぽい
アーバンイノシシの「アーバン」は、たとえばアーバンライフやアーバンスタイルといった表現で用いられる言葉です。
・アーバンイノシシとはどういう意味:都会に住むイノシシ
アーバンの意味が「都会的な、都市風の」といった意味を持つため、アーバンイノシシとは都会的なイノシシだと言えます。
都会に生息するイノシシというだけの話です。
・アーバンイノシシはいつから呼ばれるようになったか
アーバンイノシシという言葉がいつから使われ、都市部にやってきたイノシシのことをアーバンイノシシと呼ぶようになったかは不明です。
ただし、一つのきっかけとなったのはNHKのクローズアップ現代と言えます。
・アーバンイノシシが東京に出没・生息する理由
イノシシは細道や用水路が好きなため、そうした細い道を通って山や森から人里へとやってくると言います。
また、人間はウリボーなどのように小さいイノシシを可愛いと思ったり、自ら攻撃してくるようなことはないため、アーバンイノシシにとって都市部は豊富なエサを得られる完璧な場所だと言えます。
・アーバンイノシシの対策
- 物陰に身を隠す
- 高い場所に登る
- 傘などで自分の足元(イノシシの目線)を隠す
- 上着などでイノシシの顔を隠す
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