2019年に中国・香港政府が「逃亡犯条例」の改正案を提出することが決まり、その内容の危険性を感じた香港の人々が若者を中心に議会の進行を妨害するために抗議デモをはじめました。
日本でもニュースとして取り上げられていますが、「なぜ抗議デモと称して若者が物を投げたり催涙ガスを噴射したりしているのか?」についてわかりやすく解説しましょう。
香港「逃亡犯条例」改正案って何か問題点をわかりやすく解説
中国・香港の「逃亡犯条例」改正案について詳しい流れについてはともかく、「いったい何なのか?何が悪くて問題なのか?」についてわかりやすさ第一で解説します。
逃亡犯条例って何が悪いの?
「逃亡犯条例」と聞くと「逃亡犯を捕まえやすくするために面倒な手続きをなくしましょう」という条例なんだからいいことじゃないの?
そう思ってしまいます。
むしろ、「『逃亡犯条例』に反対する人はやましい気持ちがある人じゃないの?」なんて勘ぐってしまいます。
逃亡犯条例は犯罪者を捕まえやすくするための条例なのにみんなが反対しているのは何故なのでしょうか?
中国のヤバイ状況と「逃亡犯条例」の関係は?
|
|
たとえば私たち日本人がツイッターで「安倍マジ最悪さっさと辞めろ」と書いたとしても何の問題もないでしょう。
万が一、犯罪を犯したとしても警察が逮捕するまでにはしっかりとした手続きが踏まれ、自白の強要なども禁止されていますし、濡れ衣を着せられることもありません。
中国ではこれらが当たり前ではありません。
少しでも中国政府を批判した内容をネット上に投稿すれば反乱分子として拘束されます。
拘束されれば、やってもいない罪を着せられて大罪人となってしまい二度と元の生活には戻れなかったり、存在が消されてしまったりするというヤバイ状況にあります。
今までは香港は中国政府が手出しするのに少し時間がかかる場所でしたが、「手続きをスキップしてサクッと中国政府に都合の悪い人間を消しちゃおう!」
というのが、「逃亡犯条例」改正案に香港の人々が必死になって抵抗している理由です。
逃亡犯条例の問題点をわかりやすく解説
私たち日本人が当たり前にできていることをすると、中国では捕まってしまいます。
- YouTube、Google、Twitterなど他国のSNSの使用
- 言論の自由の主張をすること(本の出版も)
- 民主主義について話すこと
- ゲイ、レズなどの同性愛を認める考えを持つこと
そしてもちろん、中国政府の批判と思われる発言をすれば捕まってしまいます。
今までは、この異常な事態が香港には及んでいませんでした。
「逃亡犯条例」改正案が通ることで、中国全土から「自由な考えを持つこと」が奪われることになります。
|
|
香港「逃亡犯条例」改正案の抗議デモの理由や何が悪いのか?
ざっくりとした「逃亡犯条例」改正案の解説は先にした通りです。
ここからはもう少し細かい解説をしていきます。
逃亡犯条例とは何か?
中国・香港は1997年に中国に返還されるまでの間はイギリスの領土でした。
イギリスは犯罪者が香港に滞在している時に、身柄を他国に引き渡す条件として「司法制度や刑事制度が確立されていて、人権が正しく守られている国には引き渡す」と決められていました。
イギリスの考えを受けて中国政府が締結したものが逃亡犯条例です。
イギリスから中国に香港が返還された後も、逃亡犯条例は生き続けていました。
逃亡犯条例「改正案」が主張された理由は?
香港政府によると、2019年2月に起こった香港人男性が台湾で恋人を殺害した事件での、身柄引き渡しがうまくいかなかったことを理由に、条例の改正が必要だと判断したと主張しています。
香港と中国との間では逃亡犯条例が締結されていましたが、香港と台湾の間では犯罪者の身柄引き渡しに関する条例がなかったこと。
そして身柄が引き渡せないために香港国内で証拠を揃えられた容疑でしか逮捕できなかったこと。
これらが改正案が作られる動機になったと言われています。
「逃亡犯条例」改正案の抗議デモの理由は?
抗議デモが盛んに行われている理由は、いままで香港は中国に属していながらも、イギリスの領土であった背景から「中国であって中国でない自治区」だったのが、「逃亡犯条例」改正案を機にその特異性が失われることへの懸念です。
しかし「逃亡犯条例」改正案が、先のような犯罪者に対してのみ適応されるのであれば、抗議デモは起こらなかった可能性が高いです。
問題となっているのは、引き渡し対象となっている犯罪に制限がないため、今まで中国政府が行ってきた取り締まりという名の粛清の手が香港にも及ぶのではないか?という点です。
「逃亡犯条例」改正案の何が悪いのか・影響は?
中国・香港は世界都市の一つで、経済・金融都市としての地位が確立されています。
その背景にはアジアの中心に位置しつつ、中国政府の介入がすくない香港の特異性も影響していました。
香港に拠点や支社を置く外国企業が中国政府の引き渡しの対象となる可能性があります。
そして中国政府の取り締まりなどを批判している活動家たちが何らかの容疑を着せられて引き渡しの対象となる可能性があります。
まとめ
・逃亡犯条例って何が悪いの?
逃亡犯条例は犯罪者を捕まえやすくするための条例なのにみんなが反対しているのはおかしいという訳ではありません。
・中国のヤバイ状況と「逃亡犯条例」の関係は?
少しでも中国政府を批判した内容をネット上に投稿すれば反乱分子として拘束されます。
・逃亡犯条例の問題点をわかりやすく解説
「逃亡犯条例」改正案が通ることで、中国全土から「自由な考えを持つこと」が奪われることになります。
・逃亡犯条例とは何か?
「司法制度や刑事制度が確立されていて、人権が正しく守られている国には引き渡す」というイギリスの考えを受けて中国政府が締結したものが逃亡犯条例です。
・逃亡犯条例「改正案」が主張された理由は?
香港政府によると、2019年2月に起こった香港人男性が台湾で恋人を殺害した事件での、身柄引き渡しがうまくいかなかったことを理由に、条例の改正が必要だと判断したと主張しています。
・「逃亡犯条例」改正案の抗議デモの理由は?
引き渡し対象となっている犯罪に制限がないため、今まで中国政府が行ってきた取り締まりという名の粛清の手が香港にも及ぶためです。
・「逃亡犯条例」改正案の何が悪いのか・影響は?
香港に拠点や支社を置く外国企業が中国政府の引き渡しの対象となる可能性があります。
そして中国政府の取り締まりなどを批判している活動家たちが何らかの容疑を着せられて引き渡しの対象となる可能性があります。
いつもたくさんのコメントありがとうございます。他にも様々な情報がありましたら、またコメント欄に書いてくださるとうれしいです。