2019年7月の参議院議員選挙が公示され、選挙区制と比例代表制があるうちの、比例代表制に新たに「特定枠」というものが新設されました。
今回は、2019年7月の第25回参議院議員選挙から新しく作られた比例代表の「特定枠」とは何か?ということをできる限りわかりやすく簡単に解説するとともに、
「特定枠」が作られた経緯や意味、どのような候補者がいるのかについて紹介していきます。
参議院選挙の比例代表「特定枠」をわかりやすく簡単に解説!
参議院選挙の比例代表「特定枠」とは何か?ということをわかりやすく簡単に解説してみましょう。
参議院選挙の比例代表「特定枠」とは何かわかりやすく解説
参議院選挙では2枚の投票用紙に記入します。
一枚は「選挙区制」で地域ごとに決められた候補者の中から投票する用紙。(下の画像の黄色)
もう一枚は「比例代表制」で全国どこからでも好きな政党や候補者に投票できる用紙。(下の画像の白色)
候補者は「選挙区制」か「比例代表制」かどちらか好きな方で立候補して戦うことになります。
「特定枠」が設けられたのは「比例代表制」のほうです。
「特定枠」とは簡単にいうと、「得票数が少なくても優先的に当選させられる候補者」のことです。
図に表すと分かりやすいのでまとめてみましょう。
図の左側が今までの比例代表制の場合です。
○○党の当選者が3名の場合、単純に得票数の多い人から当選していきます。
それに対して図の右側が「特定枠」のある比例代表制の場合です。
○○党の当選者が3名の場合、ピンクで囲まれたAさんとBさんを「特定枠」の候補者と決定していると、たとえ得票数が少なかったとしても優先的に当選になるというルールです。
参議院選挙の比例代表「特定枠」導入の経緯は?
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ここからはもう少し詳しく解説していきます。
2019年7月の第25回参議院議員選挙で比例代表に「特定枠」が導入された経緯についてみていきましょう。
今までも「一票の格差」という問題が指摘され続けていました。
今回の2019年7月の参議院議員選挙では、中国地方の「鳥取・島根」の選挙区と四国地方の「徳島・高知」がそれぞれ2つに分かれていても、有権者が他の地域に比べて「少ないのに当選してしまうのは平等ではない、票の格差がある!」ということが指摘されました。
その結果、鳥取と島根を一つにまとめた選挙区に。
徳島と高知も一つにまとめた選挙区にすることが決まりました。
そうすると、今までなら「鳥取」、「島根」、「徳島」、「高知」で4名の議員が存在したところが、「鳥取・島根」、「徳島・高知」で2名の議員しか当選しないことになってしまいます。
これら現職の4名の自民党の参議院議員にとっては議席数を減らされたために落選の危機に瀕します。
このまま戦っては知名度がないため落選して職を失うのが確実、そこで知名度のない現職の自民党の参議院議員を失職させないために、「知名度がなくても当選できる枠」として設けられたのが比例代表の「特定枠」です。
この成り立ちを知っている野党は「特定枠」の制度に反対するとともに、「特定枠」を利用していません。
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参議院選挙の比例代表「特定枠」の意味や候補者は?
2019年7月の第25回参議院議員選挙の比例代表で新たに設定された「特定枠」の意味や候補者についてみていきましょう。
参議院選挙の比例代表「特定枠」の意味は?
参議院選挙の比例代表で新しく設定された「特定枠」の意味は、「得票数に関係なく優先的に当選する枠」と言い換えて良いでしょう。
自民党によれば、
全国的な支持基盤を有するとはいえないが、国政上有為な人材あるいは民意を媒介する政党が、その役割を果たす上で必要な人材が当選しやすくなるよう優先的に当選人となるようにする
引用:総務省
という建前で作られたことになっています。
制限としては「特定枠」を利用する候補者は自分自身への投票をお願いするといった一般的な選挙活動を行えないことになっています。
参議院選挙の比例代表「特定枠」の利用候補者は?
2019年7月の第25回参議院議員選挙で新たに作られた「特定枠」に対しては野党は導入に反対していたこともあり、利用している候補者はいません。
実際に自民党で「特定枠」を利用したのは自民党の現職参議院議員・三木亨のみとなりました。
当初は「鳥取・島根」からは「特定枠」を利用して島田三郎が立候補する予定でしたが、2019年5月に亡くなられました。
この他には「れいわ新選組」から重度障害を抱えつつも自立支援団体の事務局長を務める「木村英子」、難病ALSと立ち向かいながら介護サービス会社の副社長も務める「ふなごやすひこ」の2名が「特定枠」を利用しています。
「れいわ新選組」は「特定枠」を反対・批判して使わないのではなく、せっかくの制度を活かした戦い方をしようとしており、「特定枠」を意味通りに正しく使えていると言えます。
まとめ
・参議院選挙の比例代表「特定枠」とは何か?
「特定枠」とは簡単にいうと、「得票数が少なくても優先的に当選させられる候補者」のことです。
・参議院選挙の比例代表「特定枠」導入の経緯は?
知名度のない現職の自民党の参議院議員を失職させないために、「知名度がなくても当選できる枠」として設けられたのが比例代表の「特定枠」です。
・参議院選挙の比例代表「特定枠」の意味は?
「全国的な支持基盤を有するとはいえないが、国政上有為な人材あるいは民意を媒介する政党が、その役割を果たす上で必要な人材が当選しやすくなるよう優先的に当選人となるようにする」制度のことです。
・参議院選挙の比例代表「特定枠」の利用候補者は?
自民党の現職参議院議員・三木亨。
「れいわ新選組」から重度障害を抱えつつも自立支援団体の事務局長を務める「木村英子」、難病ALSと立ち向かいながら介護サービス会社の副社長も務める「ふなごやすひこ」の2名が「特定枠」を利用しています。
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