映画「鉄コン筋クリート」は2006年に公開されたアニメ映画です。
「ピンポン」などで知られる松本大洋が原作を務めており、「ムタフカズ」や2019年6月に公開される「海獣の子供」の制作をしたSTUDIO 4℃が手がけた作品です。
独特な作画と世界観で多くのファンがいる中、かなり人を選ぶ作品でもあります。
今回は映画「鉄コン筋クリート」の最後はクロとシロは宝町を出たのか?
映画のラストの意味とその後はどうなったのかの考察をします。
映画「鉄コン筋クリート」最後にクロとシロは宝町を出た?
映画「鉄コン筋クリート」はストーリーが映画だけではイマイチ理解できない作りになっています。
ラストシーンも唐突に海のシーンになるので、いったいクロとシロの二人が海にいるのは現実なのか、それとも幻なのか分かりにくいです。
クロとイタチの関係は?
ラストシーンに至るまでに、クロはイタチと心の中で話をしていました。
全てを破壊し、絶望や恐怖などを与えることができる闇の力を手に入れて一つになろうと持ちかけてくるイタチに対して、一度は飲み込まれそうになったクロでした。
しかし、シロの気持ちとつながり闇で覆われた心の中に白い砂浜が広がります。
その後もイタチからの勧誘を受けていたクロの目の前に白い一羽の鳩が現れて「ソコカラナニガミエル?」と何度も尋ねてきます。
クロがシロを信じた理由は?
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「ソコカラナニガミエル?」には映画「鉄コン筋クリート」では省略されていますが、原作コミックには続きがあります。
シロ「ソコカラナニガミエル?
ヒカリガミエル? ユメガミエル?」
クロ「ココカラハナニモミエナイ。
シンジツガミエナイ。
キボウモミエナイ。」
シロ「ソコカラナニガミエル?」
クロ「ココカラハナンニモミエナイ。」
シロ「ココカラ ミンナガ ミエルヨ。」
この問いかけの意味は、シロがクロのそばに一緒に立ってくれたことです。
映画「鉄コン筋クリート」ではこれを映像表現で伝えているのですが、逆に難解になってしまいました。
遠くにいてもシロと心で通じ合えることができたクロは、イタチの手を離して世界へと落ちていきます。
もう一つの理由はシロが植えていったリンゴの種が「宝町のような地獄でも芽を出していたことを知ったから」なのですが、こちらも省略されていて分かりにくくなっていますね・・・。
松本大洋の作品では同じような表裏一体となるキャラクターがピンチの時に心で対話をして力をもらうというシーンが「ピンポン」にもあります。
クロとシロは宝町を出て海の近くに住んだ?
映画「鉄コン筋クリート」ではシロが持っていた豚の貯金箱をなぜか朝夜兄弟に渡してしまいますが、原作コミックでは貯金箱を渡そうとしますが断られています。
原作コミックでは豚の貯金箱を壊して、約束通り飛行機に乗って島を出て海の近くにまでクロとシロは行くことができています。
映画「鉄コン筋クリート」でも海の近くで貝殻を積むシロや、崖の上から飛び込むクロは幻ではなく現実です。
描写はされていませんが、クロは「宝町」の呪縛から解放されて青い空の下で青い屋根の海の近くの家でシロと一緒に暮らしているといえます。
クロが海の底で拾った栓抜きは持ち手の天使2体がポイントで、悪魔と契約しようとしていた自分(クロ)が天使(シロ)を選んだことを思って笑っているシーンです。
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映画「鉄コン筋クリート」ラストの意味とその後について考察
クロとシロは「宝町」を離れて、夢に見ていた青い海と空の世界で2人で暮らすことができました。
周囲の環境を変えることはできないけれど、自分たちが心地よく暮らせる環境を求めてクロとシロは宝町を出て行きました。
映画では省略されていて分かりませんが、小説ではクロとシロをはじめとした登場人物たちのその後も少し描かれており、変化に対してどのように向き合うのか、そのさまざまな行動選択の幅を伝えてくれています。
クロとシロは宝町を出て行きましたが、他の登場人物たちや「宝町」自体はどうなったのでしょうか?
子どもの城とヤクザのその後は?
「子どもの城」は蛇の代わりの人間が首をすげ替えて開発を続けています。
ヤクザ「大精神会」の組長は内部分裂の危機を脱し、盲信的に「こどもの城」の開発を支援しています。
刑事の藤村と沢田のその後は?
刑事の二人は変わらずに「宝町」をパトロールしています。
藤村は「昔の宝町は今よりもう少し温かかった」を変わらず言い続け、沢田は以前とは違ってシロと接して以降、優しく藤村に付き合っています。
宝町のその後は?
クロとシロが住んでいた車は放置され、近くにはかつて植えたリンゴの種が芽を生やして大きくなっています。
街に住む人々は変わらない人もいれば、商店街の人たちは「そろそろ潮時か」という話をしていたりします。
クロとシロの2人だけを見ればハッピーエンドに見えます。
しかし希望に満ち溢れたエンディングというよりは、変化させることができる人間は変化し、そうでない人間はそのまま流されていくという厳しい現実を突きつけて終わります。
まとめ
・クロとイタチの関係は?
全てを破壊し、絶望や恐怖などを与えることができる闇の力を手に入れて一つになろうと持ちかけてくるイタチに対して、一度は飲み込まれそうになったクロでした。
しかし、シロの気持ちとつながり闇で覆われた心の中に白い砂浜が広がります。
・クロがシロを信じた理由は?
シロがクロのそばに一緒に立ってくれたことを知り、遠くにいてもシロと心で通じ合えることができたクロは、イタチの手を離して世界へと落ちていきます。
もう一つの理由はシロが植えていったリンゴの種が「宝町のような地獄でも芽を出していたことを知ったから」です。
・クロとシロは宝町を出て海の近くに住んだ?
クロは「宝町」の呪縛から解放されて青い空の下で青い屋根の海の近くの家でシロと一緒に暮らしていると言えます。
・子どもの城とヤクザのその後は?
「子どもの城」は蛇の代わりの人間が首をすげ替えて開発を続けています。
ヤクザ「大精神会」の組長は内部分裂の危機を脱し、盲信的に「こどもの城」の開発を支援しています。
・刑事の藤村と沢田のその後は?
刑事の二人は変わらずに「宝町」をパトロールしています。
・宝町のその後は?
クロとシロが住んでいた車は放置され、近くにはかつて植えたリンゴの種が芽を生やして大きくなっています。
街に住む人々は変わらない人もいれば、商店街の人たちは「そろそろ潮時か」という話をしていたりします。
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