大型の台風が上陸し、大きな被害をもたらすことが多くなってきました。
今回は、台風時の車の運転・通勤における注意点について。
また、車が横転や転がる・倒れる風速について紹介します。
台風時の車の運転・通勤注意点まとめ!
台風時の車の運転・通勤で気をつけるべき注意点はなんでしょうか。
台風時の車の運転・通勤の目安は?:暴風域・風速25m/s以上は乗らない
台風は最大風速が17.2m/s以上のものを指し、強風域と暴風域を持ちます。
名称 | 風速 |
強風域 | 15m/s以上 |
暴風域 | 25m/s以上 |
建物やビルの谷間など、地形の影響を受けて強風域であっても場所によっては風速が25m/sを超える場合もありますが、地形の影響を受けずに25m/s以上の激しい風が吹く可能性がある範囲が暴風域です。
基本的には暴風域に入っている場合には車の運転・通勤を控えたほうが良いと言えます。
しかし、子供が熱を出したりどうしても出かけないといけない用事があることがあります。
最近は災害時に無理やり出勤をさせる企業は「ブラック企業」だと非難される文化が徐々に広まってきているため、少なくなってきましたが「気をつけて出勤しろ」メールや連絡が来て、出勤を余儀なくされるケースもあります。
台風時の通勤・出勤は車と電車のどっちが安全?:電車がベスト
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台風時の通勤・出勤をしなければならない場合には電車やバスといった公共交通機関を利用する方が安全性は高いです。
台風時の通勤・出勤で車を使うメリットは
- 通勤時間の短縮・融通が効く
- 電車やバスが運休していても移動できる
といったものが挙げられます。
しかし、台風時の通勤・出勤で車を使うデメリットは
- トタンや瓦礫などの飛散物が飛んでくる
- 大雨で前が見えにくい
- 車が横転する可能性
- ドアの開閉時の事故
といったように、デメリットがあり交通事故にもつながります。
緊急時ということもあり、あなた自身の精神状態も安定していないでしょうし、他の車も同様に焦りや緊張を感じている可能性が高いです。
電車やバスといった公共交通機関の場合は運転におけるプロであり、安全を担保してくれます。
ただし、事故の危険性が高い場合にはすぐに運休になってしまうというデメリットもあります。
電車やバスが台風の危険性を受けて、計画運休や休業をしているにもかかわらず出勤を要求してくる企業、病院勤務のように緊急時であっても職業上、出勤せざるをえない場合は車を使うしかありません。
ドアの開け閉め・乗り降りに注意する:突然閉まって怪我をする
車を屋外の駐車場に停めている場合は特に注意してください。
普段は何気なく開けている車のドアが台風の風でまったく開かなかったり、勢いよく開いて閉めることができなくなってしまうことがあります。
下の動画は強風でドアを閉めることができなくなった様子を撮影した映像です。
笑っているので愉快に思えるかもしれませんが、突然風向きが変わってドアが「バン!!」と閉じられてしまえばこの男性の体は潰れてしまっているでしょう。
車のドアは普段は何気なく開け閉めをしていますが、決して軽いものではありません。
自宅で車に乗り込んだ時は問題がなかったとしても、降車するときや家族を車で迎えにいった時にも勢いよくドアが開いてしまうことがあります。
周囲に車が停車しているときに勢いよくドアが開いてしまい、隣の車にへこみ・キズがついてしまうことがあります。
「CAR CARE PLUS」に掲載されたJAFの実験では、風速20m/s〜40m/sの状況下で開いたドアがぶつかると、どれくらいのへこみができるかをしめしています。
車についたへこみの大きさも、風速の上昇に比例して大きくなっています。
ドア自体の開け閉めも、大人では風速20m/sの状況下ではドアを押さえることができましたが、風速30m/sでは十分に押さえ切ることができませんでした。
子供の場合は風速20m/sでもドアを押さえることができませんでした。
風速 | 大人 | 子供 |
20m/s | ○ | × |
30m/s | △ | × |
40m/s | × | × |
不意の出来事ですが、物損事故に変わりはないため警察と自動車保険会社への連絡をしなければなりません。
ヘッドライト・フォグの点灯:自車の存在を示す
昼間であっても台風時には大雨によって視界が悪くなりやすいです。
ワイパーを高速で動かしていても大粒の雨によって瞬く間に前方が見えなくなります。
これは周囲の車にとっても同様で、あなたの車が見えにくい状況にあると言えます。
下の動画は台風ではなくゲリラ豪雨の時の動画ですが、いかに雨が運転に影響をもたらすかが分かります。
前方が見えにくいため、車線もほとんど見えなくなります。気づかずに対向車線にはみ出してしまっており、対向車と追突してしまう危険があります。
車幅灯だけでなくヘッドライトを点灯しましょう。
白色の光は見えにくいため、フォグランプがあるのならば点灯しておくべきです。
対向車だけでなく後続車にも、あなたの車が見えやすくなることで事故を未然に防ぐことができます。
スピードを出しすぎない:ハンドルは両手持ち
台風時には普段の運転では考えられないような突発的な出来事が多数起こります。
突然、トタンや瓦が車のフロントガラス目掛けて飛んでくることもあります。
強風の轟音に驚いて、ハンドル操作を誤って対向車線にはみ出してしまうことがあります。
横風に煽られてしまうこともあります。
想定外の出来事に少しでも対応しやすくするためには、スピードを出しすぎないことが不可欠です。
法定速度よりも抑えるくらいがちょうどよいです。
片腕をアームレストに置いて運転していたり、普段は「慣れ」でしていることをやめてハンドルを両手で持ち、教習所で習った運転を意識しましょう。
急ハンドル、急ブレーキをしなくても「何が起こっても対応できる」くらいのスピードで走行しておくべきです。
また、スピードを出しすぎないことは突発的な事故を防げるだけでなく、横風などにも強くなります。
たとえ慣れた道であっても看板が道路に落ちていたり倒木など、何が起こっていても不思議ではありません。
高速道路を走行しない:ハイドロプレーニング現象に注意
台風時は激しい雨と風が車を襲います。
車のスピードが出ていると単純に対応しきれない場面が多くなるだけでなく、路面が雨によって滑りやすくなっています。
いわゆるハイドロプレーニング現象です。
高速道路は必然的に走行速度が上がり、雨も降っているため制動距離も長くなります。
瓦やトタンなどは一般道に比べると飛んでくる可能性は低いでしょうが、スピードが出ているために起こる事故も多くなります。
落下物・飛散物に注意する:パンクにも気をつける
気象庁の風速目安によれば、風速10〜15m/sで「取り付けの不完全な看板やトタンが飛び始める」と言われています。
台風時に車を運転していると、そのような看板やトタンが落ちていたり飛んでいたりすることもありますし、紙くずやビニールの袋なども飛んでいることがあります。
フロントガラス目掛けて飛んできてガラスが割れて運転中のあなたに突き刺さることもあります。
そうでなくても、ガラスにへばりついて視界を奪われてしまう危険性があります。
また、そういった飛散物や落下物が見当たらなくても目視できないだけで路面には瓦などの欠片が散乱している可能性があり、タイヤがパンクしてしまうこともあります。
橋や横風を受けやすい場所は避ける:重心が高く側面積が大きい車は注意
スピードを落とすだけでも横転の可能性を下げることができますが、できるだけ横転の危険がある場所を避けて運転する方が良いです。
よくニュースでも取り上げられることの多い橋の上でのトラックの横転。
トラックは重量もありますが、車高が高く重心が高いだけでなく側面積も大きいため風に煽られやすい傾向にあります。
同様に車の重心が高い・側面積の大きい車は特に注意が必要です。
- バンタイプのトールサイズの軽自動車
- SUV
- ミニバン
このようなタイプは横風や風が強い場所の運転は避けた方が良いです。
具体的には
- 橋
- ビル街
- 海沿い
- 山間部
- トンネルの出口付近
- 高速道路・防音壁の切れ目
- 平坦な開けた地形
トンネルの出口付近などは避けることができないので、できるかぎりスピードを落として対応しましょう。
冠水道路を避ける:急がば回れ
SUVのように車高が高い車の場合、多少なり冠水している場所であっても少しの距離なら通り過ぎてしまいたくなることがあります。
慣れた道路であっても目視では深さがないように見えても、実は深かったということが起こります。
見知らぬ道路の場合は特に注意が必要です。
遠回りになるとしても、明らかに冠水している道路は通るべきではありません。
また、低地になっており川に囲まれているような地域は堤防が決壊する可能性もあるため、できるだけ避けた方が良いでしょう。
台風時の車の運転・通勤では降水量に注意しましょう。
また、車を運転する前に予備知識として冠水しやすい地域を確認しておくと良いです。
通行していた道路が冠水していると、ついそのまま通り過ぎてしまおうと思いやすくなります。
もし、道路が冠水していたり堤防が決壊して水に飲み込まれてしまいドアが開けられずに車から脱出できなくなった場合にはガラス割ハンマーなどで脱出しましょう。
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台風時の車の横転や転がる・倒れる風速は?
台風時の車の横転や転がる・倒れる風速はどれくらいでしょうか?
停止状態の車がひっくり返る風速は?:目安は風速50m/s
台風時の車がひっくり返る風速は一概には決められません。
車体の重量や風速・風向・風を受けている面積や角度、車の走行速度や地形などさまざまな情報の影響を受けます。
「WIND SPEEDS REQUIRED TO UPSET VEHICLES」によると、実際に起きた出来事の事例として
風速 | 車両重量 | 状態 |
39m/s | 1,090kg | 停止状態の車がスライドした |
80m/s | 5,443kg | 農場トラックが100m移動 |
車種による違いとしては
セダン | 斜め後方 | 52m/s |
その他の方向 | 58〜67m/s | |
ミニバン | 斜め前方・後方 | 58m/s |
その他の方向 | 72~81m/s | |
車高約1mの車 | 52〜81m/s |
実験結果として、平坦な地形にある停止状態の車は風速が約45m/sの風で動いたりすることがなかったと言います。
291台の車両を対象にした実験の結果として、風速が52m/s〜81m/sの風によってセダンやミニバンがひっくり返されました。
実験の結果を段階ごとにまとめると
風速 | 状態 |
43m/s | 中型・大型トラック、トレーラーやバスは転倒する可能性アリ |
56m/s | 車、バン、ピックアップは移動する可能性アリ 約10%がひっくり返る |
70m/s | 車、バン、ピックアップは移動する 10〜50%がひっくり返る 中には浮き上がる車も出てくる |
実験結果からは、一般的な家庭で用いられる乗用車の場合は風速50m/sに至らない限りはひっくり返されることはなさそうと考えられます。
しかし、あくまでも車両重量やフォルム、ダメージの程度、衝撃や風の強さや方向・持続時間や表面積などさまざまな要素が重なるため、どの車にも共通した答えを提示することは難しいです。
運転時の車の横転や転がる・倒れる風速は?:走行中の転倒リスクは増す
運転・走行中の車が横転したり、転がる・倒れる風速に関して明確に示しているデータは発見することができませんでした。
気象庁の「風の強さと吹き方」によると風速25m/s以上の表現として「走行中のトラックが横転する。」と表現しています。
このトラックがどれくらいの速度でどのような地形を走行している状態を指しているのかは分かりません。
しかし、単純に停止している状態でトラックは風速43m/sで転倒する可能性があったことと比べると、走行することによって明らかに転倒する可能性が増すと言えます。
単純計算で停止時の60%の風速で横転する可能性があると考えると、普通乗用車が停止時に50m/s程度から横転するリスクが出始めていたことを踏まえると、走行中の場合は風速30m/s以上で転倒する可能性がで始めると考えられます。
暴風域が「風速25m/s以上の風が吹く可能性がある範囲」だったことを踏まえると、やはり暴風域で車を運転することは危険だと言えます。
まとめ
・台風時の車の運転・通勤注意点まとめ!
- 台風時の車の運転・通勤の目安は?:暴風域・風速25m/s以上は乗らない
- 台風時の通勤・出勤は車と電車のどっちが安全?:電車がベスト
- ドアの開け閉め・乗り降りに注意する:突然閉まって怪我をする
- ヘッドライト・フォグの点灯:自車の存在を示す
- スピードを出しすぎない:ハンドルは両手持ち
- 高速道路を走行しない:ハイドロプレーニング現象に注意
- 落下物・飛散物に注意する:パンクにも気をつける
- 橋や横風を受けやすい場所は避ける:重心が高く側面積が大きい車は注意
- 冠水道路を避ける:急がば回れ
・停止状態の車がひっくり返る風速は?:目安は風速50m/s
291台の車両を対象にした実験の結果として、風速が52m/s〜81m/sの風によってセダンやミニバンがひっくり返されました。
・運転時の車の横転や転がる・倒れる風速は?:走行中の転倒リスクは増す
普通乗用車が停止時に50m/s程度から横転するリスクが出始めていたことを踏まえると、走行中の場合は風速30m/s以上で転倒する可能性がで始めると考えられます。
いつもたくさんのコメントありがとうございます。他にも様々な情報がありましたら、またコメント欄に書いてくださるとうれしいです。