首脳宣言って何？G7首脳宣言見送りとは何が原因・理由なのか影響についても

２０１９年８月２６日にフランス・ビアリッツで開かれていたG7・首脳会議が閉幕しました。

今回は首脳宣言って何なのか？を解説するとともに、

２０１９年のG7首脳会議で首脳宣言見送りになった原因や理由について、また首脳宣言の必要性についても解説していきます。

首脳宣言って何で必要性は？

首脳宣言って何なのでしょうか？

いったいどのような効果や必要性があるのでしょうか？

首脳宣言とは？

戦争や貿易問題、男女平等などの価値観などをその時代ごとにすり合わせておく必要があります。

そのために、世界の中でもいわゆる先進国といわれる国が定期的に集まり足並みを揃え、支え合うために開かれるのがG7やG20といったサミットです。

その際には経済分野や外交分野などに分かれて話し合いもされますが、首脳会談も開かれます。

やはり、各分野ごとの大臣が意見を交換しているだけでなく、国のトップである首脳陣が経済、外交の問題や未来のあり方について話し合い、共通認識を持っているに越したことはありません。

とはいえ、「話し合いをして同じ意見をもって終わり」というのでは口約束にしかならず説得力に欠けます。

そこで、首脳会議で話し合って首脳陣が共通認識することができた内容・成果を文章化して責任を持たせたものが首脳宣言です。

首脳宣言の必要性や効果は？

首脳宣言は首脳会議で話し合われた結果、各国が同意することができた内容を文章化したものです。

首脳宣言の必要性は口約束ではなく、契約書という訳ではありませんが文章化することによって具体的で責任を伴うものとして公表することができるところに意義があります。

例年のG7では、話し合われた内容について具体的・詳細に書かれてきました。

例えば２０１８年に行われたG7のイランに関しては

20．イランの弾道ミサイル計画が国際の平和及び安定に及ぼす脅威を認識し，我々は，イランに対し，全てのアネックスを含む国連安保理決議第2231号と相容れず，地域を不安定化させる弾道ミサイルの発射等の行動を控え，ミサイル技術の拡散を停止するよう求める。我々は，イランの核計画が，決して核兵器を追求し，開発し，又は獲得しないとの国際的義務及びコミットメントに沿って，引き続き平和的なものであることを恒久的に確保することにコミットしている。我々は，イランが支援するものを含む，全てのテロリズムへの財政的支援を非難する。我々はまた，イランに対して，テロに対抗し，政治的解決，和解及び平和を達成するための取組に貢献することにより，地域における建設的な役割を果たすよう求める。

引用：G7シャルルボワ首脳コミュニケ（仮訳）

といった内容で書かれています。

同じくイランに関して２０１９年のG7での宣言文書では

我々は，イランが決して核兵器を保有しないことを確保し,地域における平和と安定を促進する，という二つの目的を完全に共有する。

引用：G7ビアリッツ首脳会談・宣言文書（仮訳）

といった一行のみです。

首脳宣言には参加国自体に対する責任という側面もあります。

それだけでなく、G7参加国以外に対しても何が話し合われたのか、その根拠となるものや将来的な指針は何かという点が明らかにされるため、G7参加国の権威を示すという意味もあります。

G7で首脳宣言見送りの原因・理由は？

G7で初の首脳宣言見送りとなった原因や理由はなんでしょうか？

2019年G7で首脳宣言見送りとは？

２０１９年８月に行われたG7首脳会議が閉幕し、閉幕後の記者会見に議長国フランスのマクロン大統領は次回２０２０年の議長トランプ大統領と共同記者会見を行いました。

そこで、首脳会議の合意内容を１枚の宣言文書にまとめたことを伝えました。

２０１９年のG7開催前から、議長のマクロン大統領は首脳宣言をまとめない方針を示しており、１９７５年のG7首脳会議が始まって以来初の首脳宣言見送りとなりました。

G7で首脳宣言見送りの原因・理由は？

２０１９年のG7で首脳宣言見送りとなった原因には先に大阪で行われたG20が影響していると言われています。

G20大阪サミットでもG7と同じように自由貿易や地球温暖化対策について話し合われた後、各国の意見が違いすぎるために首脳宣言の取りまとめが難航しました。

２０１９年のG7首脳会議においても、参加国数が少なくなったとはいえそれぞれの国の利益なども影響しやすい分野であるため、時間がかかるぐらいなら首脳宣言を発出せずに首脳観の議論を尊重したとされています。

首脳宣言を発出しないことに関して、参加国からはG7の存在意義を失うことにも繋がるため、なんらかの宣言文書を作成するよう求める声が上がっていたと言われています。

結果として、急ごしらえの簡素な宣言文書が作成されました。

G7首脳は，強い結束と議論に対する前向きな精神を強調することを願う。ビアリッツでフランスにより開催されたG7首脳会議では，国家元首及び政府首班により，以下に要約された事項に関し，成功裏に一致を見た。

貿易
G7は，開かれた公正な世界貿易及び世界経済の安定にコミットしている。
G7は，財務大臣が世界経済の情勢を注視することを要請する。
したがって，G7は，知的財産の保護に関する有効性を改善し，紛争をより迅速に解決し，及び不公正な貿易慣行を除去するために，WTOを徹底的に改めることを期待する。
G7は，経済協力開発機構(OECD)の枠組みで，2020年に，規制上の障壁を簡素化し，国際課税を現代化するための合意に達することにコミットする。

イラン
我々は，イランが決して核兵器を保有しないことを確保し,地域における平和と安定を促進する，という二つの目的を完全に共有する。

ウクライナ
フランス及びドイツは，目に見える結果を達成すべく，今後数週間以内に，「ノルマンディー・フォーマット」の首脳会合を開催する。

リビア
我々は，長期の停戦に導くリビアの休戦を支持する。
我々は，政治的解決のみが，リビアの安定を確かなものにすることができると信じる。
我々は，この紛争の全ての利害関係者と地域の関係者を一同に集めた，十分に準備がなされた国際会議を要請する。
我々は，この点に関し，リビア人同士の会議を開催するための国際連合及びアフリカ連合の活動を支持する。

香港
G7は，1984年の英中共同声明の存在と重要性を再確認し，暴力を回避することを求める。

引用：G7首脳宣言2019年8月26日(於:ビアリッツ)(仮訳)