映画「関ヶ原」は木村拓哉×二宮和也主演で話題にもなった「検察側の罪人」の原田眞人監督が司馬遼太郎原作の歴史小説「関ヶ原」を映画化した作品です。
あまりにも難解で歴史が頭に入っていない人には何を話しているのかも聞き取りづらい初見殺しな作品ですが、噛み砕いていけば楽しめる作品になっています。
今回は映画「関ヶ原」の合戦での槍の使い方や戦い方についての解説。
また、槍合わせの動きや戦国時代の合戦のルールについてご紹介します。
映画「関ヶ原」槍の使い方や戦い方は?
映画「関ヶ原」は史実に基づいて関ヶ原の戦いにまつわる人物や出来事を映像化していることでも評価されています。
その中でも画期的であり高く評価されているのが関ヶ原の戦いでの槍の使い方や戦い方の描写です。
合戦での槍の使い方や戦い方は?
槍の使い方のイメージはその形状から「突き」ではないかと思いがちですが、映画「関ヶ原」では「突く」のではなく「叩く」描写が多いことが印象的でした。
合戦での武器の使われ方というものはなかなか伝承されにくいこともあってか、長年にわたってさまざまな映画やドラマでは槍は「突く」ものとして前後の動きを取り入れられていました。
次第に歴史の調査を進めるにつれて、本来の使用方法はその間合いを生かして「槍ぶすま」と言われる槍を突き並べて壁のように見立てることで相手を威圧して後退させる使い方や、映画「関ヶ原」でも行われた上下の動きで叩き合う使い方が主流だったということがわかってきました。
槍合わせとは何か?
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戦国時代の合戦にはいくつかルールがあるのですが、その中の動きの一つとして「槍合わせ」と呼ばれるものがあります。
戦力にそれほどの差がなく、歩兵同士が槍を構えて近づくことができたときに起こるものです。
互いの槍を言葉通りで合わせて叩き合う動作を指します。
絵面的には非常に地味ですが、「突き」で攻め入るとなればせっかくの有利な間合いを捨てることにもなりかねないので、ただの足軽である歩兵の戦い方としては理にかなっていると言えます。
また槍合わせですら、めったに起こらない槍での戦い方だったそうです。
映画「関ヶ原」で槍を上に組み合わせて回る動きは何?
映画「関ヶ原」の終盤の合戦シーンで気になったのはお互いの槍を上に組み合わせて天に掲げてくるくる回っているところです。
なんとなく「槍合わせ」という言葉を知ったあとだと理解できるような気がしなくもないですが・・・。
関ヶ原の戦いが始まり、大谷刑部(大場泰正)の軍がやってくる場面で旗からして徳川家康(役所広司)の東軍の兵士たちが槍をもってその刃先を交えて上に向けてくるくると回っています。
周囲には石田三成(岡田准一)の東軍の兵士が囲んでいるようにも見えます。
「わー!」と声をあげてもいるので、士気を高めるための動きであるか、中心部分が黒くなっているので何か標的を刺し殺しているとも考えられます。
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映画「関ヶ原」戦国時代の合戦のルールは?
大まかに戦国時代の合戦のルールや流れについてご紹介したいと思います。
城攻めと関ヶ原の戦いの野戦では扱いが違ったりもしますが、概ねは変わりないでしょう。
鬨(かちどき)をあげて戦意を鼓舞する。
鬨(かちどき)とは自軍の士気を高める掛け声です。
自軍の士気を高めた後は相手に対する罵詈雑言を吐いて悪口を言い合うそうです。プロレスのマイクパフォーマンスのような感じでしょうか。
一通りパフォーマンスが終われば、実際に出陣して合戦が始まります
敵と対面したら名前を名乗る
元寇のときに名乗っている間に殺されたことを懲りてないのですね。
日本人同士だから許されるということでしょうか。
名を上げるための戦いであり、誰を殺したのかがその後の褒美にも関わってくるので大切だったと言えます。
投石・矢・鉄砲による遠距離攻撃
まずは投石から始まり、矢や鉄砲を撃つといった遠距離攻撃を仕掛け合ういます。
戦にはそれぞれの陣営に仕えている武士ばかりでなく、領地に住まう百姓も駆り出されています。
徐々に数を減らすという意味でもこうした遠距離攻撃から始まるようです。
槍を持った足軽の進軍
遠距離攻撃が終わるとお互いに敵陣に向けて、あるいは敵の城に向けて槍を持った足軽兵士が向かっていきます。
足軽の後方には馬に乗った軍師役が陣形などの指示を出し、間合いを詰めたり広げたりの見えない攻防が始まります。
白兵戦闘
足軽の数や陣形のやりとりなどで拮抗した場合には槍合わせが起こることがあります。
斬り合いも起こるようですが、殴る・蹴る・押し倒すなど何でもありの状態が主で、最後のトドメとして刺し殺すというスタイルのようです。
兜や鎧に身を包んでいることを考えると、無闇に刀を振り回して当てたところで意味がないことは明らかです。
映画「関ヶ原」においても島左近(平岳大)のような名将も刀を鎧の隙間や首筋に差し込み引き抜くような形で使用しています。
的確に間合いを詰めて、武器を刃こぼれさせたり無駄にせずに瞬時に相手を倒していく能力が島左近(平岳大)の強さの一旦だと分かります。
なんとなくですが、右半身が怪我を負っていても戦える理由が分かる気もします。
また、足軽は武士ではなく百姓も多く含まれていることから、白兵戦になると逃げ出すことも多かったようです。
その意味でも島左近(平岳大)のように軍の士気を上げてくれる人間が前線に長くいられるかが、そうした足軽を機能させるか逃げ出させるかを分けることにもつながります。
ちなみに、そうした合戦の最中に逃げ出した者や略奪などをしたものは監視係がおり、戦の後に処罰されるようです。
合戦の勝敗や終了の合図
制限時間が設けられており、その時に生き残っているものが多い方が勝者になります。
翌日に繰り越される場合は、あらかじめ決められた時間にほら貝や太鼓などで終了の合図を送ります。
関ヶ原の戦いは小早川秀秋の裏切りもあって1日で決着することになりました。
基本的には夜襲は起こりにくいとされていましたが、夜襲をしてはいけないというルールがあった訳ではありません。
なので石田三成(岡田准一)によって却下されてしまいますが、島左近(平岳大)らも関ヶ原の戦いの前日に夜襲を提案しています。
まとめ
・合戦での槍の使い方や戦い方は?
槍の使い方のイメージはその形状から「突き」ではないかと思いがちですが、映画「関ヶ原」では「突く」のではなく「叩く」描写が多いです。
・槍合わせとは何か?
互いの槍を合わせて叩き合う動作を指します。
・映画「関ヶ原」で槍を上に組み合わせて回る動きは何?
「わー!」と声をあげてもいるので、士気を高めるための動きであるか、中心部分が黒くなっているので何か標的を刺し殺しているとも考えられます。
・映画「関ヶ原」戦国時代の合戦のルールは?
- 鬨(かちどき)をあげて戦意を鼓舞する。
- 敵と対面したら名前を名乗る
- 投石・矢・鉄砲による遠距離攻撃
- 槍を持った足軽の進軍
- 白兵戦闘
- 合戦の勝敗を決めたりその日の戦の終了の合図を送る
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