選挙が終わると話題に上がるものの一つに政党助成金があります。
今回は政党助成金の一人あたりの金額はいくらなのか?
また政党助成金を交付されるための条件や使い道・使途の内容や借金返済に充てても良いのかについて紹介していきます。
政党助成金の一人あたりの金額は?
政党助成金の一人あたりの金額はいくらなのでしょうか?
国民一人あたりの金額や議員一人あたりの金額について見ていきましょう。
政党助成金の国民一人あたりの金額は?
政党助成金は私たち国民の税金が使われています。
政党助成金の国民一人あたりの金額は年間250円と決められています。
つまり、
日本国民の人数 × 250円 = 政党助成金額
という式で毎年の政党助成金の総額の基準が決められ、それぞれの政党に分配されていく仕組みになっています。
国民一人あたりの負担額が250円なら大したことないかと思うかもしれませんが、日本人口が約1億3千万人なので毎年300億円以上が政党助成金として使われています。
総務省によると、2019年度の政党助成金の交付額は317億7300万円とのことです。
見込み額としては次のようになります。
自民党 | 178億9400万円 |
国民民主党 | 54億600万円 |
立憲民主党 | 32億3000万円 |
政党助成金については税金が使われていることもあり、支持していない政党であっても国民の支払ったお金が、支持していない政党のために使われてしまう現状について批判されています。
政党助成金の議員一人あたりの金額は?
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政党交付金の総額は毎年国民一人あたり250円が賄われており、総額は約320億円になります。
直近の国勢調査で確定した人口をもとに計算されることになっています。
また、各党への交付額には計算方法が決められており、交付金の全額を「議員数割」と「得票数割」の2つの分けて、それぞれを別々の式に当てはめて計算していきます。
議員数割と得票数割について詳しく見ていきましょう。
議員数割
議員数割はその言葉通り、その政党に所属する衆議院・参議院議員の数を全議員総数で割った割合に応じて支払われる仕組みです。
例えば、
ある政党の議員数が5人、全議員数700人、政党交付金総額320億円(議員数割は160億円)とすると
5÷700×160億=約1億円
になります。
議員数割はそのまま、政党の議員数が多ければ多いほど高くなると言えます。
得票数割
得票数割は議員数割よりも少し計算が複雑になり、長い間存在することで得られる金額も高くなる傾向があります。
得票数割は衆議院選挙と参議院選挙の小選挙区・比例区ごとに政党助成金を分けて、得票数に合わせて分配されます。
例えば、政党交付金総額320億円(得票数割は160億円)とすると
衆議院選挙(前回) | |
小選挙区 | 25%(40億円)を得票数に合わせて |
比例区 | 25%(40億円)を得票数に合わせて |
参議院選挙(前回と前々回) | |
小選挙区 | 12.5%(20億円)を得票数の平均に合わせて |
比例区 | 12.5%(20億円)を得票数の平均に合わせて |
この金額ごとにそれぞれの選挙における得票数の割合に合わせて交付額が変わってきます。
特に参議院選挙では前回と前々回の選挙での得票数割合の平均になるため、その政党の歴史がある程度古いほど得票数割でもらえる政党助成金は多くなると言えます。
議員一人あたりの金額は?
以上のことを踏まえて、2017年度の政党助成金の政党ごとの交付額から、議員一人あたりの金額を見てみましょう。
2017年度は政党助成金の総額318億円が各党に交付されました。
上の表は2017年度の政党助成金の交付額を表したものです。
右端に議員一人あたりの金額が書かれていますが、政党によって3800万円〜2億4500万円までかなりの開きがあります。
議員数割の交付額は議員数がそのまま反映されているため、自民党のように大人数の政党ほど金額が高いことがわかります。
注目すべきは得票数割です。
得票数割も議員数が多ければ多いほど高くなりやすいですが、一概にそうとは言えません。
表中でも赤字になっている「日本のこころ」は議員数2人ですが得票数割では4億円以上を交付されています。
もちろん当選して議員となった2人が圧倒的な得票数を取った可能性もありますが、大きな原因として考えられるのは落選した候補者たちの存在です。
たとえ当選できなかったとしても全国からできるだけ多くの得票数を集めることができれば、それだけ得票数割でもらえる交付額が高くなります。
選挙となれば立候補にも600万円〜2000万円は選挙活動にあたり必要だと言われています。
とはいえ、たとえ落選しても得票数割に貢献することができるという意味で、落選した議員にも価値があるのでしょう。
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政党助成金の条件や使い道・使途で借金返済は可能?
政党助成金をもらうための条件はなんでしょうか?
また、政党助成金の使い道・使途にはどのようなものがあり、借金返済に使用することは可能なのか見ていきましょう。
政党助成金とは何か?
政党助成金は一般には政党交付金と言われるもので、政党助成法という法律で決められた条件を満たした政党に対して、政党の活動を助けるために国庫から交付されるものです。
かつては政党助成金という制度はなく、献金が一般的でした。
しかし、リクルート事件などのように献金をした企業や団体などに対して有利に働くような法律や制度を作ってしまう事件が多発しました。
企業や団体からの献金を受け取らない代わりに、政治活動をすることができるための補償として政党助成金という制度が1994年から導入されることになりました。
政党助成金をもらうための条件が存在しますが、条件を満たしていたとしても政党助成金を受け取らないという選択が可能で、共産党は1994年の制度導入依頼受け取りを拒否し続けています。
その理由は政党助成金は国庫から支出される、つまりは国民の税金から生み出されたものと言えます。
議員数や得票数が多い政党に多く交付されるとはいえ、国民一人一人が応援している政党にしっかりと交付されているとは言い切れません。
望んだ通りの使われ方をしていない、支持していない政党のお金を負担している状況はおかしいということで、共産党は拒否をしています。
政党助成金は選挙などを見越すと特に重要な活動資金ですが、共産党は拒否してもやっていけている理由は機関紙を発行していたりするため、そうしたものの収益が充てられています。
政党助成金の条件は?
政党助成金がもらえるための条件は大きく2つのルートがあります。
・国会議員が5人以上所属している |
・国会議員が1人以上所属している ・衆議院選挙(前回)の小選挙区or比例区で得票率が2%以上 あるいは ・参議院選挙(前回か前々回)の小選挙区or比例区で得票率が2%以上 |
このどちらかの条件を満たしていれば政党助成金をもらうことができます。
また、前提条件として法人格を取得している政党でなければいけませんし、政党交付金を受けたいという旨を届け出ておく必要があります。
また、得票率2%に設定された理由は政党助成金の制度が作られた当時、スポーツ平和党という政党が「2%を超える得票率」という条件だと自分たちが交付対象外になってしまうためでした。
政党助成金は「4月・7月・10月・12月」の年4回に分けて交付されます。
政党助成金の使い道・使途は?
政党助成金は私たち国民の税金が使われていますが、「政治活動の自由」を尊重するために使い道・使途について基本的には制限されていません。
もちろん国民の税金が使われているため、恥じることのない使い方をしているかという点に関して政党助成金の使い道・使途を報告する義務があります。
一般的には議員活動の一環として必要になるものに政党助成金が使われていますが、例外も多くあります。
- 人件費
- 光熱費や水道費
- 備品消耗品費
- 事務所費
- 組織活動費
- 選挙関係費
- 機関紙誌や宣伝事業費
- 政治資金パーティーや調査研究費 など
この中でも一番多い使い道・使途は人件費です。
しかし、使い道・使途に大きな制限がなされていないこともあり、自分の子供の飲食費を人件費として計上した例もあります。
他にも
- ヘアメイク代
- 党名変更・新党名普及キャンペーン
- 高級料亭・寿司屋・中華料理屋の飲食代
- 税金で税金を払う
- 党大会の会場費や設営費
- ウグイス嬢の契約費
- 供託金
といったものも報告されています。
政党助成金で借金返済は可能?
基本的には制限がされていない政党助成金の使い道・使途ですが、例外もあります。
借金返済や貸付のために政党助成金を使うことは許されていません。
実際に借金返済に政党助成金を流用したのではないかと話題にもなったことがあります。
まとめ
・政党助成金の国民一人あたりの金額は?
政党助成金の国民一人あたりの金額は年間250円と決められています。
・政党助成金の議員一人あたりの金額は?
議員一人あたりの金額は政党によって3800万円〜2億4500万円までかなりの開きがあります。
・政党助成金とは何か?
政党助成金は一般には政党交付金と言われるもので、政党助成法という法律で決められた条件を満たした政党に対して、政党の活動を助けるために国庫から交付されるものです。
・政党助成金の条件は?
国会議員が5人以上所属しているか、国会議員が1人以上所属しており、なおかつ衆議院選挙(前回)の小選挙区or比例区で得票率が2%以上あるいは参議院選挙(前回か前々回)の小選挙区or比例区で得票率が2%以上でなければいけません。
・政党助成金の使い道・使途は?
政党助成金は私たち国民の税金が使われていますが、「政治活動の自由」を尊重するために使い道・使途について基本的には制限されていません。
・政党助成金で借金返済は可能?
借金返済や貸付のために政党助成金を使うことは許されていません。
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