2020年に行われる夏季五輪・東京オリンピックパラリンピックに向けて、天皇陛下に名誉総裁への就任をする方向で調整が進んでいます。
今回は、天皇陛下が名誉総裁となることで、東京オリンピック・パラリンピックで何をすることになるのか?
また、今まで日本で開かれたオリンピック・パラリンピックでの名誉総裁は何をしてきたのか、報酬はあるのかについて紹介していきます。
天皇陛下名誉総裁は東京オリンピック・パラリンピックで何をする?
天皇陛下が2020年の東京オリンピック・パラリンピックで名誉総裁と務めることで、何が行われるのでしょうか?
天皇陛下が東京オリンピック・パラリンピックの名誉総裁に就任?
政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで天皇陛下に名誉総裁就任の要請をし、実現の方向へ向けて調整が進んでいます。
オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森会長が安倍晋三総理に対して天皇陛下がオリンピック、パラリンピックの両方で名誉総裁を務め、開会の言葉を述べられるように要請したためです。
今まではオリンピックは天皇陛下が、パラリンピックは皇太子が出席、開会の言葉を述べることが慣例となっていました。
しかし、天皇陛下が障害者スポーツに対して強い関心を持たれていることから、組織委員会は両方の大会で天皇陛下が名誉総裁を務めることが望ましいと判断しました。
天皇陛下が務める名誉総裁とは何か?
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「名誉総裁」とはその名の通り名誉職で、日本では「日本赤十字社」のような団体や万国博覧会のようなイベントでも設けられることの多い役職・称号です。
日本においては天皇や皇族などが名誉総裁を務めることが多いです。
実際に団体の運営などに関わることはなく、式典に出席したり褒賞の授与を担当したりします。
天皇陛下は東京オリンピック・パラリンピックで名誉総裁として何をする?
2020年東京オリンピック・パラリンピックで天皇陛下が名誉総裁として行われることは、開会式での開会宣言です。
国内で開催されたオリンピック・パラリンピックで天皇陛下や皇太子が名誉総裁となることは今までも行われてきています。
また、2020年東京オリンピック・パラリンピックには皇位継承権第1位の秋篠宮殿下が出席される方向で調整が進んでいます。
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天皇陛下オリンピック・パラリンピック名誉総裁の歴史と報酬は?
天皇陛下がオリンピック・パラリンピックの名誉総裁を務めてきた歴史や内容について、
また名誉総裁を務めることで報酬が支払われるのでしょうか?
オリンピック・パラリンピックの開会宣言は誰がする?
オリンピック憲章には、オリンピックの開会宣言は開催国の国家元首が行うことと決められています。
そのときの宣言文は次のように決まっています。
・オリンピアード競技大会の開会の場合には:
「私は、第……回(オリンピアードの番号)近代オリンピアードを祝し、オリンピック(開催都市の名前)大会の開会を宣言します。」・オリンピック冬季競技大会の場合には:
「私は、第……回(オリンピック冬季競技大会の番号)オリンピック冬季競技大会(開催都市の名前)大会の開会を宣言します。」引用:オリンピック憲章
開催期間中には政治的な要素を排除するために、文言がこのように決められており、式辞を述べられるのもIOC会長と組織委員会会長のみが短い敷地を述べることができます。
天皇は国家元首なのか?
オリンピック憲章には開催国の「国家元首」が開会宣言をすると決められています。
天皇は国家元首にあたるのか?という点が疑問に残ります。
国家元首とは国家の代表者であり、大統領や首相、国王と呼ばれる人たちが該当します。
天皇は日本国憲法で「象徴」という立場であり、国家元首には当たらないのではないか?
この議論に日本国憲法に明確な答えは示されておらず、「解釈によって首相も天皇も国家元首になりえる」ことになります。
ちなみに、自民党が日本国憲法の改正を行おうとしている草案には
「天皇は、日本国の元首であり」
という文言が盛り込まれています。
日本国内では明確な答えは今のところありませんが、外国にとっては天皇が日本の国家元首として認識されていることが多く、1964年の東京オリンピックでは、当時のIOC会長を務めていたアベリー・ブランデージから昭和天皇に開会宣言を務めるように要請がなされました。
1964東京五輪の昭和天皇名誉総裁は何をした?
1964年の東京オリンピックでは昭和天皇が名誉総裁を務め、開会宣言をしました。
オリンピック憲章の規定通りに次のように述べられました。
「第18回近代オリンピアードを祝い、ここにオリンピック東京大会の開会を宣言します。」
開会式にあたり各国の選手団が入場する様子を見守り、開会宣言を行うこと以外に名誉総裁としての務めはありません。
そもそも主役は選手たちであるため、与えられた役割が少ないことは当然とも言えます。
過去の日本で行われたオリンピック・パラリンピックで名誉総裁を務めたのは次の表の通りです。
1964年東京夏季五輪の名誉総裁 | |
オリンピック | 昭和天皇 |
パラリンピック | 皇太子(平成天皇) |
1972年札幌冬季五輪の名誉総裁 | |
オリンピック | 昭和天皇 |
パラリンピック | 不開催 |
1998年長野冬季五輪の名誉総裁 | |
オリンピック | 平成天皇 |
パラリンピック | 皇太子(令和天皇) |
2019年東京夏季五輪の名誉総裁 | |
オリンピック | 令和天皇 |
パラリンピック |
冬季パラリンピックは1976年から開催されることになるため、1972年の札幌冬季五輪ではパラリンピックが開催されておらず、名誉総裁もありません。
天皇陛下オリンピック・パラリンピック名誉総裁の報酬は?
天皇陛下がオリンピック・パラリンピックの名誉総裁を務める報酬はいくらなのかを調べてみました。
天皇陛下や皇族の費用は国家予算の中に組み込まれており、次の表のようになっています。
皇室の費用 | 宮内庁費 | |
皇室費 | 内廷費 | |
宮廷費 | ||
皇族費 |
「名誉総裁として開会式に出席して開会宣言をする」という行為は皇室費の「宮廷費」に該当すると思われます。
宮廷費は
「儀式、国賓・公賓等の接遇、行幸啓、外国ご訪問などの皇室の活動に必要な経費や皇室用財産の管理、皇居等の施設の整備に必要な経費」
であり、名誉総裁はこの説明の「行幸啓」にあたります。
宮廷費は毎年55億円程度となっており、その中でも行幸啓費には約1億円が割り当てられています。
しかし、具体的に1億円の内訳が何か?ということは分かりませんでした。
まとめ
・天皇陛下が東京オリンピック・パラリンピックの名誉総裁に就任?
政府は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックで天皇陛下に名誉総裁就任の要請をし、実現の方向へ向けて調整が進んでいます。
・天皇陛下が務める名誉総裁とは何か?
実際に団体の運営などに関わることはなく、式典に出席したり褒賞の授与を担当したりします。
・天皇陛下は東京オリンピック・パラリンピックで名誉総裁として何をする?
2020年東京オリンピック・パラリンピックで天皇陛下が名誉総裁として行われることは、開会式での開会宣言です。
・オリンピック・パラリンピックの開会宣言は誰がする?
オリンピック憲章には、オリンピックの開会宣言は開催国の国家元首が行うことと決められています。
・天皇は国家元首なのか?
日本国内では明確な答えは今のところありませんが、外国にとっては天皇が日本の国家元首として認識されています。
・1964東京五輪の昭和天皇名誉総裁は何をした?
1964年の東京オリンピックでは昭和天皇が名誉総裁を務め、開会宣言をしました。
・天皇陛下オリンピック・パラリンピック名誉総裁の報酬は?
行幸啓費には約1億円が割り当てられていますが、具体的に1億円の内訳が何か?ということは分かりませんでした。
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