2019年7月6日に大阪府堺市、羽曳野市(はびきのし)、藤井寺市(ふじいでらし)にまたがる「百舌鳥・古市古墳群(もず・ふるいちこふんぐん)」が世界文化遺産に登録されることが決定しました。
今回は「百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産の問題点や今後の課題について、
また登録決定の理由について紹介していきます。
百舌鳥・古市古墳群世界遺産の問題点や今後の課題は何?
2019年7月6日にアゼルバイジャンで開かれていたユネスコの世界遺産委員会で「百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産への登録が決まりました。
過去に九州のキリシタンに関する遺産などと競合した際に国内審査で3度の落選を乗り越えての登録決定でした。
百舌鳥・古市古墳群世界遺産の問題点は何?
「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産に登録されるまでに、反対意見を持った人たちが抗議活動を続けてきました。
反対派の人々の意見としては大きく2点で
- 世界遺産登録で観光地化して犯罪やゴミ問題が起きる懸念
- 人の墓を観光地にすることがおかしい
というようなものになります。
今回のユネスコの世界文化遺産への登録に当たっても、委員会から「地域の関与のあり方」や「開発からの保護」などを指摘されてきています。
「百舌鳥・古市古墳群」は古墳時代の西暦400年ごろに統治していた仁徳天皇たちの陵(お墓)として造られた場所です。
今も仁徳天皇陵である古墳などは宮内庁が管理しており、今回の世界文化遺産登録にあたって
「皇室御祖先のお墓としてその『静安と尊厳』が損なわれないことを前提に、今後とも陵墓を含む世界文化遺産の保全に向けて必要な協力を行っていく」
とコメントを発表しています。
世界文化遺産として周知されて商業的にも盛り上がりを見せて日本が活気付くことは望ましいことですが、あくまでお墓である以上はその扱いには注意が必要です。
百舌鳥・古市古墳群世界遺産の今後の課題は何もないこと?
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「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産に登録されたことで観光業界などへの経済効果が期待されている一方で、日本の古墳は特に内部への立ち入りが禁止されており観光名所としての魅力に欠けているため、今後の売り出し方の工夫が不可欠と言われています。
「百舌鳥・古市古墳群」は第2次世界大戦後の宅地開発で古墳群の大半が壊されて住宅地が造られたこともあり、ほとんど住宅地に突然緑の空間がボン!と存在しているような状態です。
子どもの頃よく忍びこんだ、百舌鳥、古市古墳群。マジか…ほんま何もないで。ただの住宅街やからね。
— hiromichi tanaka (@tanachumie) 2019年7月6日
「百舌鳥・古市古墳群」を知る人たちはネット上で「何もない」という意見を口を揃えて投稿しています。
「百舌鳥・古市古墳具」の魅力は上空からの古墳の全体写真ですが、周囲にそれらしいビュースポットもなく、内部に入れるわけでもないためただの広い森にしか見えません。
堺市博物館では古墳群を上空から眺められるVR体験を行なっており、堺市はヘリコプターなどを用いた遊覧ツアーの実施を模索中です。
また、日本は地震が頻発する国でもあるため、宅地開発以外にも世界文化遺産としての価値を失ってしまう可能性は大いにあります。
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百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録の理由は?
百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録の理由はなんでしょうか?
百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録の経緯は?
百舌鳥・古市古墳群は2007年に文化庁によって世界遺産候補地の一つとして話題に上がり始めました。
その後2010年に世界遺産センターの候補地リストに掲載されるようになりました。
2013年から世界遺産への推薦がなされるように活動を続けてきましたが、他の候補地との競争に負け続けて国内選考に勝ち残れずにいました。
2017年7月についに2019年度の登録審査候補として国内選考を通過します。
2018年9月中旬にはユネスコの国際記念物遺跡会議(ICOMOS:イコモス)の現地視察調査が行われました。
そして2019年7月6日に正式に世界文化遺産への登録が決定されました。
百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録の理由は?
国連記念物遺跡会議(ICOMOS:イコモス)は2019年5月14日に、「百舌鳥・古市古墳群」が世界文化遺産へ登録されることを公表し、その理由として
- 4世紀後半〜5世紀後半にかけて高域の豪族による連合政権が初期国家を形成してゆく家庭を表している
- 四種の墳形と規模に差異があり、被葬者の身分差が読み取れる
- 古墳時代は中国の律令制を取り入れる前の日本独自の文化がある
- 古墳の形状はのちの皇族の墓形に受け継がれており、埋葬の伝統を証明している
- 土星建造物の極めて優れた技術があったことを示している
が評価されました。
また古墳の崩壊や近隣地域の開発の影響が少なくなるようにすることや、古墳に埋葬されている天皇家の血筋が今も存在しており祭祀や伝統が継続されていることの重要性についても示されました。
2019年7月6日にアゼルバイジャン・バクーで開かれた世界遺産委員会の場では、日本の前に候補地となっていたインドの都市を巡って議論がなされたため、21カ国の委員国のうち5カ国(クウェート、チュニジア、ジンバブエ、オーストラリア、スペイン、アゼルバイジャン)のみに意見が求められ、満場一致で登録が決定しました。
その際
ジンバブエ:鬱蒼とした森に覆われた陵(お墓)は神秘的である点に価値がある
スペイン:陵(お墓)を大切に感じてきた地域社会の存在が素晴らしい
と評価しています。
まとめ
・百舌鳥・古市古墳群世界遺産の問題点は何?
今回のユネスコの世界文化遺産への登録に当たっても、委員会から「地域の関与のあり方」や「開発からの保護」などを指摘されてきています。
・百舌鳥・古市古墳群世界遺産の今後の課題は何もないこと?
「百舌鳥・古市古墳群」は第2次世界大戦後の宅地開発で古墳群の大半が壊されて住宅地が造られたこともあり、ほとんど住宅地に突然緑の空間がボン!と存在しているような状態です。
・百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録の経緯は?
2017年7月についに2019年度の登録審査候補として国内選考を通過します。
・百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録の理由は?
- 4世紀後半〜5世紀後半にかけて高域の豪族による連合政権が初期国家を形成してゆく家庭を表している
- 四種の墳形と規模に差異があり、被葬者の身分差が読み取れる
- 古墳時代は中国の律令制を取り入れる前の日本独自の文化がある
- 古墳の形状はのちの皇族の墓形に受け継がれており、埋葬の伝統を証明している
- 土星建造物の極めて優れた技術があったことを示している
いつもたくさんのコメントありがとうございます。他にも様々な情報がありましたら、またコメント欄に書いてくださるとうれしいです。