憲法改正について議論されることが多くなっています。
今回は、憲法改正をなぜするかをできる限りわかりやすく解説していきます。
また、憲法改正を今したがる理由は何か、必要性についても紹介していきます。
憲法改正をなぜするかわかりやすく解説!
憲法改正についてなぜ今になって叫ばれるようになったのでしょうか?
憲法改正をなぜ今するのかわかりやすく解説していきましょう。
憲法改正に対する国民の支持は?
日本国憲法が施行されたのは1947年5月3日、70年以上前のことでした。
以来、一度も憲法改正が行われたことはなく、積極的に改正案について国会で議論されることもありませんでした。
NHKが行った「憲法に関する意識調査2018」によると
改正の必要がある | 29% |
改正の必要ない | 27% |
どちらともいえない | 39% |
わからない・無回答 | 5% |
という結果でした。
賛成と反対が同じくらいで、まだ具体的にどう改正されるのかもわからないため「どちらともいえない」という考えの人が多いようです。
各新聞社も憲法改正に関する世論調査を行なっていますが、時期や新聞社などによってまちまちな結果になっています。
安倍首相は2019年7月に行われた参議院選挙の総括として、憲法改正について「国民からの力強い信任を得た」と発言しています。
憲法改正をなぜするかわかりやすく解説
|
|
70年以上にわたって一切改正がなされてこなかったのに、なぜ今になって憲法改正が叫ばれているのでしょうか?
今までも日本国憲法制定当初から憲法改正を求める人、その声に反対する人がいる構図には変わりがありませんでした。
憲法改正がなぜ今しようと言われている理由は、日本や周辺の国の状況の変化にあると言えます。
また、日本国憲法は平和憲法で絶対に変えてはいけないありがたいものだといった考えを持つ人と、そうでない人の割合の変化にもあると考えられます。
憲法改正のポイントとされているところは国会で議論が中断されているため確かなことは言えませんが、兼ねてから主張されていることとしては
- 憲法9条改正(自衛隊が違憲扱いされないように)
- 緊急事態条項の増設
- 憲法改正要件の緩和
この他にも憲法前文の修正や、憲法の表現が今の時代にあっていないなどがあります。
憲法改正の日本での手続きは?
今の日本での憲法改正の手続きは日本国憲法第96条に定められています。
上の図では一部省略されていますが、衆議院・参議院で可決されるまでに憲法審査会の議論も経ることになります。
フランスでも議会を通して憲法改正がなされることもあれば、
大統領が憲法改正案を提出 |
↓ |
国民投票で過半数賛成で成立 |
というスピード憲法改正も可能になっていることを考えると、日本は手続きがややこしく改正議論がなされにくい構図になっています。
もちろんこれには最高法規である憲法が不用意に改正されないよう、慎重な議論が行われるというメリットもあります。
|
|
憲法改正を今したがる理由や必要性は?
ここからはもう少し詳しく憲法改正がなぜ今叫ばれるのか、
憲法改正をしたがる理由や必要性について解説していきます。
憲法改正を今したがる理由は何?
今まで日本国憲法を改正しなくても問題がなかったのだから、これからも変える必要はないという意見をもった人も多くいます。
そんな中で今になって憲法改正をしたがる理由は、やはり今の日本や周辺国の状況にあると言えるでしょう。
憲法改正にあたり緊急事態条項を盛り込もうとしていることがこれに該当します。
緊急事態条項についてくわしくはこちら→緊急事態条項をわかりやすく解説!危険な理由と外国の事例についても
また、「日本国憲法のはじまり」を考えることで憲法改正をしたがる理由が生まれるようです。
ポイントは大きく3つあり、
- アメリカが作った憲法で日本の憲法ではない
- アメリカが作った憲法なので翻訳がおかしい
- 自衛隊が認められていない
それぞれ見ていきましょう。
アメリカが作った憲法で日本の憲法ではない
中学校の歴史の授業で学んできたように、第二次世界大戦後に制定された日本国憲法は日本側が作った憲法草案をGHQが取り入れませんでした。
その後、GHQが草案を作り直して出来上がったものが今の日本国憲法です。
日本の最高法規でありながら、日本が作った憲法ではないという点に関しておかしいだろうという意見があります。
もちろん内容の精査は必要ですが、70年以上も経過しており時代も変化していることを踏まえると、今の時代にあったものとして見直されるべきところがあるかもしれません。
アメリカが作った憲法なので翻訳がおかしい
日本国憲法が第二次世界大戦後の占領下でGHQによって作られたものだということは、今の日本国憲法は誰かが日本語に翻訳したものだということです。
例えば前文の
「諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」
という部分については
「諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」
でなければ日本語としておかしいといった意見があります。
また、憲法や法律は堅苦しい言い回しをあえてしている部分がありますが、それでも分かりにくい表現が多いです。
自衛隊が認められていない
憲法改正の話題になると注目されるのが憲法9条の改正についてです。
憲法9条に戦力の不保持や交戦権を持たないことを明記しているため、自衛隊は戦力・武力ではないのか、ならば憲法違反だといった主張がなされます。
しかし、地震や台風・大雨被害などが起こった時には特に自衛隊の人たちのありがたみを私たちは感じる経験をしており、なくてはならない存在だという認識は変わりないでしょう。
日本国憲法に自衛隊を持つことに関して明記されていない、そして武力を持つことを禁止している理由には日本国憲法を作ったGHQにとって「日本が戦力を持たない国」になることが優先事項だったことが挙げられます。
その後、朝鮮戦争にあたり自衛隊が必要だという主張に変わったり、マッカーサーも憲法9条について「自衛を否定するものではない」といった主張をするようになりこじれていきました。
この点に関しては「今・自衛隊は存在しているのだからそれでいいじゃないか」という主張もあります。
しかしこの点に関しては自衛隊の存在が何によって保障されているのか?というところとつながります。
今の自衛隊は法律によって存在を保障されています。
自衛隊法 | →国会の過半数で自衛隊を廃止可能 |
防衛省設置法 | |
国家行政組織法の別表 |
法律によって保障されていると言うことは、衆議院や参議院でこれらの法律を修正することで自衛隊を廃止させることが可能だと言うことです。
現実的ではないという意見もあるかもしれませんが、自衛隊が憲法違反だという主張をする人々がいることも事実です。
憲法改正の必要性は?
憲法改正をなぜ今するのか、したがっている理由は何かについて紹介してきました。
- 日本の憲法ではないから
- 自衛隊を憲法違反でないようにするため
- 周りの国の状況の変化に対応するため
などが挙げられます。
また、日本国憲法はGHQが日本から戦力をなくすことを優先して作ったこともあり、平和憲法という名にふさわしく非武装のための文言は豊富にあります。
しかし多くの国の憲法では平和だけでなく、緊急事態や環境、家族についてなどさまざまな内容が規定されています。
日本でも地震や台風・大雨などの被害は年々激しさを増していたり、家族のかたちや文化に対する意識の変化など、多くの物事が変化しています。
他国の憲法が最初からそうした時代に即した文言を想定していたわけではありません。
徐々に憲法を改正していくことで、時代ごとに不足した要素を盛り込んだり修正していっています。
憲法改正の外国・他国との比較や回数は?
日本国憲法は1947年5月3日に施行されて以来、一度も改正されていません。
世界中には日本国憲法のように文章化された憲法が188カ国存在し、日本の憲法は14番目に古いものと言われています。
憲法改正が外国・他国ではどれくらいの回数や頻度で行われているのかについて紹介していきます。
70年以上にわたり一度も改正されていない日本国憲法は普通なことなのでしょうか?
国名 | 制定・公布 | 憲法改正回数 |
アメリカ | 1787年9月17日 | 18回 |
韓国 | 1948年7月12日 | 9回 |
ドイツ | 1949年5月24日 | 62回 |
イタリア | 1947年12月27日 | 14回 |
デンマーク | 1849年 | 4回 |
スイス | 1848年9月12日 | 140回以上 |
メキシコ | 1917年2月5日 | 175回以上 |
国によってかなりムラがあったり、改正されている範囲が改正回数のわりに一度に全体的に修正されている場合や、少しずつ多数回に分けて改正されているものなどさまざまです。
「外国・他国がやっているから日本も取り入れればいい」とは言えないものもあります。
しかし、世界的に見れば憲法とは時代の変化に合わせて追加したり修正されたりされるものです。
また、今の日本の憲法改正の議論をすることすらも禁止していることは逆に、もし改正をするとなったときに私たち国民にとって身近でなさすぎる事態だということも問題となり得ます。
まとめ
・憲法改正に対する国民の支持は?
日本国憲法が施行されたのは1947年5月3日、以来、一度も憲法改正が行われたことはなく、積極的に改正案について国会で議論されることもありませんでした。
・憲法改正をなぜするかわかりやすく解説
憲法改正がなぜ今しようと言われている理由は、日本や周辺の国の状況の変化にあると言えます。
・憲法改正の日本での手続きは?
日本は手続きがややこしく改正議論がなされにくい構図になっています。
・憲法改正を今したがる理由は何?
- アメリカが作った憲法で日本の憲法ではない
- アメリカが作った憲法なので翻訳がおかしい
- 自衛隊が認められていない
・憲法改正の必要性は?
日本でも地震や台風・大雨などの被害は年々激しさを増していたり、家族のかたちや文化に対する意識の変化など、多くの物事が変化しています。
・憲法改正の外国・他国との比較や回数は?
国によってかなりムラがあったり、改正されている範囲が改正回数のわりに一度に全体的に修正されている場合や、少しずつ多数回に分けて改正されているものなどさまざまです。
いつもたくさんのコメントありがとうございます。他にも様々な情報がありましたら、またコメント欄に書いてくださるとうれしいです。