「価格カルテルを結んでいたことで公正取引委員会が独占禁止法違反と認めて罰金を課すことになった」というニュースは定期的によく目にします。
今回はカルテルとは何か?ということをできるだけわかりやすく解説していきます。
また、何が誰にとって悪いのか?
なぜ禁止されているのかについてもみていきましょう。
カルテルとは何かわかりやすく解説!
カルテルとは何でしょうか?わかりやすく解説していきましょう。
カルテルとは何か?
カルテルには価格カルテルや数量カルテルなど、いくつかの種類があります。
「カルテル=取り決め・ルール」と思ってもらえればわかりやすいでしょう。
カルテルを説明するために一番イメージが湧きやすいのはケータイ会社です。
今ではUQmobileやmineo (マイネオ)などもありますが、ケータイ会社ってどこがある?と言えば
「au」、「docomo」、「softbank」
の3つではないでしょうか。
私たち消費者にとっては、できるだけお金は節約して安くいい商品が買えるに越したことはありません。
そして企業・会社にとっては真逆で、できるだけ高い値段で質の悪い商品を買わせたほうが儲かります。
もし1つの会社が高い値段で質の悪い物を売っていても、「じゃぁ他の会社の商品を買おう」と思えます。
しかし少し前のケータイ会社は「au」、「docomo」、「softbank」の3つしかありませんでした。
3つともが同じようなサービス、同じような高い値段でケータイ電話を売っていたら、私たちには「他で買おう」という選択肢がそもそも無くなってしまいます。
カルテルとはこのように、「安く売ってもお互いトクしないんだし、みんなで値段上げちゃおうぜ」という取り決め・ルールのことです。
ややこしいところですが偶然、値段やサービスが同じになってしまう場合はカルテルにはなりません。
口約束やルールを話し合うなりして決めた場合にのみ、カルテルにあてはまります。
なので、例として挙げているケータイ会社の3社はカルテルとして摘発されていません。
カルテルって何語で語源や由来は?
|
|
カルテルは「Kartell」と書き、ドイツ語をそのままカタカナで置き換えた言葉です。
元々はイタリア語の「cartello (カルテッロ)」という「看板」を表す言葉がフランス語で「cartel (カルテル)」になり「企業連合」という意味合いが加わり、ドイツ語の「Kartell」へと変わっていったとされています。
イタリア語の「cartello」が看板を表していたことから考えると、その看板には商品の値段が書かれていたと言えます。
ある商品の値段を周りに知らしめることで、同じ商品を扱っている他の店も同じ値段にするようになっていったと考えられます。
当初はそうやって過剰に値下げをしすぎることを抑えていた意味合いがあるのですが、値下げをルールを作って起こらなくしてしまうことには消費者だけでなく、会社や社会全体にとっても大きな問題があります。
カルテルと独占禁止法の関係
カルテルは公正取引委員会の「独占禁止法」という法律で禁止されていることです。
ざっくり言ってしまえば、会社同士が商品の値段を同じにしてしまうことで、値下げが起こらなくなり会社同士は損をしませんが、私たち消費者は「本当はもっと安くで買えたはずなのに」高い値段で買わされることになります。
公正取引委員会はこういった私たち消費者が損をしないために「独占禁止法」のもとで会社がカルテルのようなことをしていないか?を監視しています。
実はカルテルが「独占禁止法」で禁止されているのは、私たち消費者が損をしないためだけではありません。
少しややこしい話なので、あとで詳しく解説していきます。
価格カルテルと数量カルテルの違いは?
カルテルとはいくつかの会社が話し合い、ルールを決めて商品の値段などを同じにしてしまうことです。
カルテルにはいろいろなものが存在します。
価格カルテル
ニュースでよく取り上げられ、多くの会社が行っている違法行為が価格カルテルです。
その名前の通り、「商品の値段・価格」をいくつかの会社で決めてしまい、それ以上値下げしなかったり、ときには値上げをすることもあります。
数量カルテル
お店に並べられる商品の販売できる数や、生産する量をいくつかの会社で決めてしまうことです。
この他に「市場分割カルテル」や「合理化カルテル」などがあります。
|
|
カルテルの何が悪いのか・なぜ禁止されるのか?
カルテルが私たち消費者にとって損をすることだから悪いことで禁止されているというだけでなく、他にも理由があります。
カルテルの何が悪いのか、なぜ禁止されているのかを詳しく解説していきます。
カルテルの何が悪いの?
カルテルの何が悪いのか?は大きく3つ挙げられます。
消費者が損をする | 本当はもう少し安く買えたかもしれない 値下がりしないから変えなかった人がいる |
会社が損をする | もう少し安く売れれば、売れ残りがなかったかもしれない |
社会全体が損をする | 消費者は他のものも買えたはずのお金が消える 会社も他の仕事に回せる予算がなくなり、新しい仕事を受けられなくなる |
「消費者が損をする」ということに関しては納得しやすいでしょうが、残り2つはいまいちピンとこないと思うので、どういうことなのかを説明していきます。
わかりやすい状態を作るために、「価格カルテル」でいくつかの会社が商品の値段を値上げしたとします。
例えば、ケータイ電話で考えてみます。
本来は「需要と供給のバランス」が取れている均衡価格が3万円だったとします。
均衡価格とは、「au」でも「docomo」でも「softbank」でも私たち消費者が「ケータイ電話に出せるお金は3万円までだったらいいかなー」 という値段です。
しかし3つの会社が話し合いをしてルールを決め、価格カルテルとして「3万は無理、5万で買わせようぜ」としました、これを談合価格といいます。
すると、ケータイ会社にとっては1台ケータイ電話が売れるごとに値上げした分だけ2万円多く儲かることになり、得をします。
しかしここに落とし穴があって、「1台売れるごとに2万円多く儲かる」ことは事実ですが、上の図の数量に注目してください。
本当ならば「均衡数量」と書かれている分だけ商品の品数が売れたはずです。
しかし価格カルテルによって「談合数量」と書かれている分までしか商品が売れなくなってしまいます。
「3万円だったら買ってもよかったけど、5万はさすがに厳しいかな」という人たちが買えなくなるということです。
この結果、何が起こるのか?
- 消費者の中には本来買えたはずの人が買うことができなくなり、買えた人も「他の商品に回せた2万円が余分にケータイ電話代に」なってしまいました。
- 会社にとっても「本来は売れた数量よりも少ない量しか売れないので在庫が残ってしまい、赤字になってしまう」ことになります。(それでもカルテルがなくならない理由は、在庫を抱えて困るのは下請けの会社で、上の人たちは困らないためです。)
- 社会全体にとっては、消費者と会社の損をした分が合わさって影響してきます。消費者の損の影響としては他の商品を買えなくなります。
そして「商品」が「道路工事の入札」などであれば、「購入を諦められる=道路が作られない」ということになり、流通全般にも大きな影響を及ぼします。
会社の損の影響としては、在庫が増えて赤字が増えるので新しい仕事を受けるための予算が足りなくなります。
予算がなくて新しい仕事ができないと、従業員に給料を払えなくなるので失業者を出すしかなくなります。
一部の人間がトクをするために、消費者だけでなく会社側も、社会全体にも悪影響を及ぼす可能性があります。
なぜカルテルは禁止されるのか理由は?
カルテルが禁止されている理由は、もちろん私たち消費者が損をすることを防ぐためです。
会社自体や社会全体をも守り発展させていくために、日本だけでなく世界の国々でもカルテルは厳しく規制されています。
まとめ
・カルテルとは何か?
同じ商品を売っている会社同士が「安く売ってもお互いトクしないんだし、みんなで値段上げちゃおうぜ」という取り決め・ルールのことです。
・カルテルって何語で語源や由来は?
カルテルは「Kartell」と書き、ドイツ語をそのままカタカナで置き換えた言葉です。
・カルテルと独占禁止法の関係
公正取引委員会は私たち消費者が損をしないために「独占禁止法」のもとで会社がカルテルのようなことをしていないか?を監視しています。
・価格カルテルと数量カルテルの違いは?
カルテルとはいくつかの会社が話し合い、ルールを決めて商品の値段などを同じにいてしまうことです。
・カルテルの何が悪いの?
消費者、会社、社会全体も損をすることになるため、カルテルをしてはいけないことになっています。
・なぜカルテルは禁止されるのか理由は?
カルテルが禁止されている理由は、もちろん私たち消費者が損をすることを防ぐためです。
いつもたくさんのコメントありがとうございます。他にも様々な情報がありましたら、またコメント欄に書いてくださるとうれしいです。