人工血液の研究が進み、実用化がされるかもしれないというニュースがありました。
今回は、人工血液の実用化はいつになるのか?
また人工血液の色は白色なのか、成分は何か。
犬や人間での実験や実用化での問題点や課題について紹介していきます。
人工血液の実用化はいつ?
人工血液の実用化は何時ごろになるのでしょうか?
人工血液とは?
人工血液は代用血液・代替血液とも呼ばれています。
人工血液をめぐる研究は17世紀から始まり、多くの研究者が輸血に代わる方法として他の生物や人間の血液の成分を模倣した液体を作り実験を繰り返してきました。
人工血液が作れないと言われていたりするポイントとしては、酸素を運搬する役割を担う赤血球を再現することが困難であるためでした。
今現在も人工血液として利用されているものがありますが、あくまで血液量を補うだけの役割しかありません。
人工血液が完成し人間に利用しても問題なく血液としての機能を果たすことができれば、宗教的な問題などで輸血を反対している人たちや血液感染する病気の伝染リスクをなくすことができます。
酸素運搬の役割を担う赤血球の代わりとして、ヘモグロビンをベースとしたものと、パーフルオロカーボンというものをベースとしたものの2種類が主に研究されています。
アメリカやヨーロッパで臨床実験が行われています。
人工血液は作れないし実用化は無理?
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人工血液を血液量を補うだけでなく、赤血球の酸素運搬のような役割まで再現することは不可能と言われてきました。
そんな中、2019年9月に早稲田大学、防衛医科大学、奈良県立医科大学の共同研究チームが人工血液を使って大量出血したウサギの救命に成功しました。
実験では10羽のウサギの肝臓を傷つけ大量出血させた後、人工血液を輸血したところ、6羽の救命に成功したとのことです。
研究チームでは、交通事故等で緊急に大量の輸血が必要な場合等に、輸血用の血液の不足を人工血液によって補うことで、救命率の向上につなげることができるのではないかと期待している。
研究チームが作成した人工血液は人工の血小板と赤血球の2つからできており、常温で1年以上保管可能で血液型を問わずに輸血が可能と言われています。
実験では血液が固まるなどの問題も起こらなかったと報告されています。
輸血用の血液の保存は難しく、大量輸血が必要な交通事故などの手術では赤血球や血小板が不足しやすいため、今回の人工血液が実用化が期待されています。
適温 | 保存可能日数 | |
赤血球 | 2〜6℃ | 20日程度 |
血小板 | 20〜24℃ | 4日程度 |
人工血液の実用化はいつごろ?
今のところ人工血液の実用化の目処は立っていません。
特に日本においては臨床実験がされにくい傾向にありましたが、今回のウサギによる動物実験を受け、研究チームでは早ければ来年にも人間に対する安全確認のための実験を行い、3〜4年後には実用化を目指すとのことです。
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人工血液は白色で成分は?
人工血液は白色なのでしょうか、また成分は何なのでしょうか?
人工血液は白色?
人工血液が白色だと言われていたことがあります。
今回の防衛大学らの研究チームが行った実験で使用された人工血液は人間の血液と同じ赤色をしています。
人工血液が白色をしていると言われている理由は、赤血球の果たす酸素運搬の役割を開発する方法としてパーフルオロカーボンをベースにしたものと、ヘモグロビンをベースにしたものの2つがあり、1970年代頃に白色をしたパーフルオロカーボンをベースにしたものが注目されました。
そのため、人工血液と聞くと白色だというイメージがあるようです。
人工血液の成分は?
今回の防衛大学らの研究チームが用いた人工血液は人工赤血球と人工血小板を使用しています。
公表されている情報としては
人工赤血球 | ヘモグロビン小胞体 |
人工血小板 | アデノシン二リン酸 |
の2つがナノサイズのカプセルの中に入っているものだということです。
実験では人工赤血球と人工血小板の併用が大量出血からの蘇生に効果的だと結論づけています。
人工血液の犬や人間での問題点や課題は?
人工血液の実用化を見越した場合に犬や人間に利用する際の問題点は
- コスト
- 安全性
- 酸素運搬能力の再現
この3つにありました。
防衛大学らの研究チームによる人工血液がこのまま人間に対する実験もクリアした場合に残る課題はコスト面のみになるでしょう。
17世紀からはじまった人工血液をめぐる研究において犬などの動物実験、人間に対する実験のどちらでも、本来の血液と同じ役割を果たすことができずに臓器に有毒だという点が問題になっていました。
また、人工赤血球の開発にあたっても問題点や課題がつきまとっていました。
ヘモグロビン濃度を上げると粘度や浸透圧が上昇し酸素供給量が少なくなってしまい、ヘモグロビン小胞体では不必要なものまで取り込んでしまうといった別の問題を解決する必要がありました。
また、機能面だけでなくウィルス感染などのリスク対策も必要であったため、研究が徐々に進んでいるにもかかわらず、なかなか安全で酸素運搬能力ももった人工血液が作られない状況にありました。
まとめ
・人工血液とは?
人工血液は代用血液・代替血液とも呼ばれています。
・人工血液は作れないし実用化は無理?
人工血液を血液量を補うだけでなく、赤血球の酸素運搬のような役割まで再現することは不可能と言われてきました。
・人工血液の実用化はいつごろ?
今のところ人工血液の実用化の目処は立っていません。
・人工血液は白色?
1970年代頃に白色をしたパーフルオロカーボンをベースにした人工血液が注目されたため、人工血液と聞くと白色だというイメージがあるようです。
・人工血液の成分は?
今回の防衛大学らの研究チームが用いた人工血液は人工赤血球と人工血小板を使用しています。
・人工血液の犬や人間での問題点や課題は?
- コスト
- 安全性
- 酸素運搬能力の再現
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