ローマ法王・教皇が日本に来日して天皇陛下や安倍首相と会見する様子が報じられました。
今回は、ローマ法王とローマ教皇の違いは何か?
英語表現や法王・教皇・天皇の序列はどうなっているのか解説します。
ローマ法王と教皇の違いや英語は?
ローマ法王と教皇の違いは何でしょうか?
ローマ法王と教皇の違いは?:教皇へと統一する方向
ローマ法王とローマ教皇の違いは特にありません。
どちらもカトリックの最高指導者ただ一人を指すための名称です。
強いて、どちらが今後使われていくのかと言えば「ローマ教皇」です。
法王も教皇も私たちには聞き馴染みのある言葉ですが、カトリックの最高指導者を指す場合には今まで「ローマ法王」という表現がなされてきました。
もともと日本語ではないため、法王・教皇を指す英語の「pope」をどのように訳すべきなのか?という点がポイントでした。
古くから日本には宗教の最高指導者を指す言葉として「法王」という言葉が存在していたため、カトリックの最高指導者に対しても「ローマ法王」という名称がつけられることになりました。
しかし、カトリック中央協議会によると、カトリック教会の考えとしては「ローマ教皇」を推していきたいとのことです。
1981年2月に当時のローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が来日をしたことをきっかけに日本カトリック教会ではローマ法王ではなく、ローマ教皇を使うことに統一されました。
その理由は漢字の問題です。
あくまでキリスト教・カトリックの場合はローマ法王・ローマ教皇その人自身が神なのではなく、信徒たちの代表者・指導者であったり神の代弁者という立ち位置です。
法王は「王」という漢字が入るため、本来の役割とはかけ離れた印象を持つことになってしまいます。
そこで、教皇であれば指導者として教えるニュアンスが漢字にも含まれるために好まれたようです。
30年近い日本カトリック教会の布教運動が身を結び、2019年のフランシスコ法王の来日の際には、ローマ法王ではなくローマ教皇として報じられることになりました。
法王から教皇へ変更した理由・原因:仏教思想による
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2019年11月20日に日本政府がこれまで日本では一般的に使われていた「ローマ法王」という表現をやめて「ローマ教皇」へと変更することを発表しました。
法王という言葉が日本にいつから存在していたのかは正確にはわかりませんが、かつて聖徳太子が「法王」と呼ばれたことがあったり、奈良時代の僧侶・道鏡に対して当時の称徳天皇が「法王」の称号を授けたことがありました。
このように「法王」という言葉は古くから日本に存在しており、日本には仏教が存在していたため
- 仏法の王
- 仏・如来
を指す言葉でした。
仏教における法王はサンスクリット語のダルマラージャを表します。
ダルマラージャはダルマ、ラージャダルマと呼ばれることもあり、王の義務などと訳されますが平たく言えば釈迦・仏といった神様を指します。
明治時代に外国に存在する宗教の最高指導者の称号をどのように日本語訳すべきかが話し合われました。
外国の宗教も、いってみれば仏のようにそれぞれの宗教の崇拝対象の化身であったり代弁者です。
ダライ・ラマはまさに仏がこの世に姿を表した化身そのものなので、日本では「ダライ・ラマ法王」と呼ばれています。
同様の流れで1942年の日本・バチカン国交樹立を機にローマのカトリックの最高指導者であるため、ローマ法王が日本政府によって正式名称とされました。
外交部署も「ローマ法王庁大使館」といった名称で呼ばれるようになり、ローマ法王が日本では一般的な名称になっていきました。
しかし日本カトリック教会は1981年のヨハネ・パウロ二世の来日に合わせて、法王よりも指導者らしく「教」の字が入った教皇とすべきだと主張していきます。
徐々に普及していきますが、日本において大使館名を変えることは容易ではありません。
しかし30年近い訴えもあり、日本政府はバチカン市国に名称変更の確認を行い受理されたためローマ法王からローマ教皇へと変わることになりました。
法王や教皇とは何か・英語は?:popeなど
法王・教皇は英語では
- pope
- pontiff
- the papacy
といった複数の表現が存在します。
どれも「the leader of the Roman Catholic Church」、つまりローマのカトリック教会のトップを指す言葉です。
若干のニュアンスの違いとして
pope | 普通 |
pontiff | フォーマルな表現 |
the papacy | 在任期間や役職、権威を指す |
といった違いがあります。
語源はラテン語のpapaから来ており、さらにもとを辿ればギリシャ語papasに由来しています。
パパという言葉からも分かる通り、父なる存在そのものを指しています。
家族内での父親のイメージに近い権威的・指導者的な役割を担う人という意味です。
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法王・教皇・天皇の序列:ほとんど同列として扱うべき
ローマ法王・教皇が天皇陛下と会見されたことがニュースとして取り上げられました。
一般的に法王・教皇・天皇の序列は次のようになります。
1 | 天皇・皇帝 | emperor |
2 | 法王・教皇 | pope |
3 | 王・女王 | king, queen |
4 | 大統領 | president |
5 | 首相 | premier |
序列に関しては外交上デリケートな問題でもあるので、開催国の意向にそって上座を設置したりアルファベット順・五十音順などの当たり障りのない理由づけを行うことが一般的です。
また、天皇・皇帝・法王・教皇はほとんど同列として扱うべきだという考えもあり、そもそも序列という考え方が時代的に合っていないという批判もあります。
国民が知らない日本の危機によると、カナダ政府が発表した外交上の社交序列は以下の表の通りです。
上の行ほど序列が高いです。
法王・教皇が含まれていないので、天皇陛下との序列がどのようになっているかは読み取れませんが、少なくともカナダ政府においては天皇陛下がトップという扱いをしていたと言えます。
まとめ
・ローマ法王と教皇の違いは?
ローマ法王とローマ教皇の違いは特にありません。
どちらもカトリックの最高指導者ただ一人を指すための名称です。
強いて、どちらが今後使われていくのかと言えば「ローマ教皇」です。
・法王から教皇へ変更した理由・原因
2019年11月20日に日本政府がこれまで日本では一般的に使われていた「ローマ法王」という表現をやめて「ローマ教皇」へと変更することを発表しました。
・法王や教皇とは何か・英語は?
法王・教皇は英語では
- pope
- pontiff
- the papacy
といった複数の表現が存在します。
・法王・教皇・天皇の序列は?
1 | 天皇・皇帝 | emperor |
2 | 法王・教皇 | pope |
3 | 王・女王 | king, queen |
4 | 大統領 | president |
5 | 首相 | premier |
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