日本の小中学校の不登校になっている児童生徒数は年々増加し続けています。
いじめだけでなく、学校で勉強をする意味があまりないのではないか?という意見も多くなり、ホームスクーリングに対する興味も高まっています。
今回はアメリカでのホームスクーリングを行っている子供達の人数や割合はどれくらいなのか?
ホームスクーリングでも大学に進学・卒業できるだけの学力を身につける教育ができているのかについて紹介します。
ホームスクーリングのアメリカの人数・割合は?
日本よりもホームスクーリングが一般的とされているアメリカでの、ホームスクーリングを実践している子供の人数や割合はどれくらいでしょうか?
アメリカのホームスクーリングとは?
アメリカでのホームスクーリングとは、家庭や学校以外の場所で教育を受けている場合を指します。
ホームスクーリングは一般的には親や家庭教師、ネットを利用したオンラインの教師によって指導が行われます。
幼稚園や保育園のような就学の義務がない時期には、家庭や地域の中でホームスクーリングが行われるのが一般的です。
ホームスクーリングという場合には、就学義務がある期間を学校に行かないで公立学校や私立学校の代わりに行われる家庭教育を指します。
アメリカ国立教育統計センターによると、アメリカ全土の子供のうち約3%が2011年〜2012年の1年間にホームスクーリングを受けています。
その人種割合は
白人 | 83% |
黒人 | 5% |
ヒスパニック系 | 7% |
アジア・太平洋諸島系 | 2% |
となっており、2016年ではアメリカでホームスクーリングで教育を受けている子供は約170万人にのぼります。
ホームスクーリングで教育を受けている子供の成績を平均すると、全国平均以上の成績を記録しており、ホームスクーリングで勉強してきた子供達のおおくはアイビーリーグの大学に入学しています。
ホームスクーリングの歴史は?
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ホームスクーリングの歴史は古く、さまざまな文化で家族が子供たちに対して教育をする一般的なやり方でした。
プロの家庭教師を雇うことができたのはごく一部の富裕層だけで、学校という制度ができるまでは一般的でしたが、アメリカでは「強制出席法」という法律が制定されたことで19世紀から20世紀にかけて減少しました。
しかし、一部の部族など孤立した集団ではホームスクーリングは実践され続け、1960〜1970年代にかけて工業化教育に不満を持った教育改革派の台頭とともに復活していきます。
ホームスクーリングのアメリカでの人数・割合は?
アメリカにおけるホームスクーリングで学んでいる子供の割合は約3.4%で約200万人程度になります。
アメリカの最高裁判所は、両親が子供の教育を指導する基本的権利を有するという判決をしたため、公的にも認められています。
しかし、州によってホームスクーリングに関する規制や援助のレベルには違いがあります。
もともと、アメリカのホームスクーリングは農村地域などで一般的に行われてきました。
1970年代には学校教育を危険視する本が出版されたことでホームスクーリングを始めた家庭も多く、2012年には約180万人の子供達がホームスクーリングを行っています。
アメリカ教育省は2007年に150万人のK-12(幼稚園卒業〜高校3年生までの13年間)の子供達がホームスクーリングをしており、アメリカ全土の子供たちのうち約3%を占めていると推定しています。
ちなみに1999年には約85万人だったので、かなり増加して行っていると言えます。
この統計には両親のうちどちらかが子供の教育の少なくとも一部を行なっており、公立・私立学校への入学が認められなかった場合に週25時間を超える子供で、一時的な病気のために学校に通えていない学生は除かれています。
近年は家庭教師を招いて指導することが多く、外国語や科学など指導が難しい科目に役立っています。
また、多くの家庭では学校の体育館やグラウンドを共同で間借りして運動をしていたりします。
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ホームスクーリングで大学に入学・卒業する学力や教育は可能?
ホームスクーリングのアメリカでの例から、ホームスクーリングで大学に入学・卒業できるだけの学力を身につける教育を行うことが可能か見ていきましょう。
ホームスクーリングを親がさせる理由・原因は?
アメリカでホームスクーリングをさせる親の理由や原因はなんでしょうか?
2011年〜2012年に行われた調査によると
両親の学校環境に対する懸念 | 91% |
宗教指導をしたい | 64% |
道徳的な指導をしたいという願望 | 77% |
学術的な不満、他の学校での指導 | 74% |
伝統的でないアプローチで教育を受けることへの不満 | 44% |
子供がホームスクーリングが良いというから | 16% |
身体的・精神的な健康状態に問題があるから | 15% |
といった理由が挙げられています。宗教を理由にしている親はキリスト教・原理主義福音派であることが多く、学校での進化論を指導することに反対しているためです。
また、学校の環境への懸念とは近年多発している銃乱射事件のような安全性、麻薬、同級生からのいじめなどさまざまあり、先生の指導に不満があったり、学校までの距離の遠さなども挙げられます。
また、宣教師や軍人の家族は頻繁に引っ越しをしないといけないため、ホームスクーリングにしてしまった方が余計なストレスをかけなくて済むというのもあります。
学校も幅広い年齢層との交流が可能ですが、より一層幅広い年齢層との交流をしてほしいという親の願いから、旅行や野外調査、博物館訪問、野外教育、コンサートの出席、職場訪問、政府の建物の見学などの機会を増やしたいと思っているようです。
ホームスクーリングの場合は、時間の制約が少ないため親の行動力さえあればいくらでもフィールドワークができると言えます。
ホームスクーリングの理由として宗教的・道徳的な指導をしたいというものがありますが、調査によるとホームスクーリングによって成人した人たちは、公立や私立学校を卒業した人たちよりも宗教的な傾向は低いと言われています。
2011年のカルダス教育調査の結果によると、ホームスクーリングをしていたカトリック系の子供は学校に通っていた同級生よりも頻繁に教会に行っていましたが、プロテスタント系の私立学校に通っていた同級生とほぼ同じ頻度で宗教活動に参加していました。
メシア大学のミルトン・ゲイザー教授によると、「ホームスクーリング自体には両親の保守的な政治志向や宗教・道徳的理念を成人になっても持ち続けるような効果はない。」と言われています。
ホームスクーリングで大学に進学・卒業できる学力が身に付く?
ホームスクーリングで学んできた多くの子供は大学や大学レベルの高等教育を受けることを選択します。
小学1年生から高校3年生までの勉強を同級生たちが完了し終わる前に、ホームスクーリングで勉強している子供達が2年制・4年制の大学入学に必要な単位を取得し終えることは一般的になっています。
そのため、アメリカの大学側も率先してホームスクーリングで学んできた子供達を受け入れており、95%の大学がホームスクーリングのための入試要項を設けています。
ホームスクーリングで学習してきた子供はそうでない子供たちよりも卒業率が高く、57.5%の卒業率に対して66.7%を記録しています。
また、大学に在籍している間にも高得点を獲得しやすい傾向にあります。
ハーバード大学、スタンフォード大学、コーネル大学、ノースウェスタン大学、ブラウン大学、ダートマス大学など、入学試験が厳しい偏差値の高い大学へも多く入学している傾向にあります。
まとめ
・アメリカのホームスクーリングとは?
アメリカでのホームスクーリングとは、家庭や学校以外の場所で教育を受けている場合を指します。
・ホームスクーリングの歴史は?
プロの家庭教師を雇うことができたのはごく一部の富裕層だけで、学校という制度ができるまでは一般的でしたが、アメリカでは「強制出席法」という法律が制定されたことで19世紀から20世紀にかけて減少しました。
・ホームスクーリングのアメリカでの人数・割合は?
アメリカにおけるホームスクーリングで学んでいる子供の割合は約3.4%で約200万人程度になります。
・ホームスクーリングを親がさせる理由・原因は?
学校の環境への懸念、宗教的・道徳的な指導をしたいなどさまざまあります。
・ホームスクーリングで大学に進学・卒業できる学力が身に付く?
ホームスクーリングで学習してきた子供はそうでない子供たちよりも卒業率が高く、57.5%の卒業率に対して66.7%を記録しています。
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