光の当たり具合によって色が変わる宝石などは有名です。
あまり知られていないものとして、光が当たると色が変わる布というものがあります。
今回はそんな奇跡の布・黄櫨染はネットで購入できるのか?
また取扱店舗や価格、黄櫨染めの染め方や材料について紹介します。
光が当たると色が変わる布・黄櫨染はネット購入できる?
光当たり方で布の色が変わることはよくあります。
濡れた布が濃い色になったり、サテンのようにツルッとした肌触りのものであれば特に光の具合によって色が変わって見えることはあります。
光が当たると色が変わる布とは何か?
今回の「光が当たると色が変わる布」とは、そうした偶然の産物によって生まれるものではなく、色の変化を作り出すことができる布です。
布の一部が光によって色が変わって見えるのではなく、前面が一様に異なる色に変わる。
そのような布、糸が日本には古来から存在していました。
おそらく多くの日本人はその存在を知りませんでした、今でもほとんどの人は知らないでしょう。
その色を使うことが禁じられていたため、一部の染色に関わる人たちしか知ることが許されていなかったのです。
日本にある禁色とは何色?
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日本には古くから禁色(きんじき)と言われるものがあります。
「使うことや着用することを禁止されている色」という意味です。
学校の歴史の授業でも習ったことのある聖徳太子の「冠位十二階」が分かりやすいものです。
階級によって着ていい着物の色が異なっていて、黒や白から始まって、紫色が一番高貴な色だと決められていました。
今でも日本で使うことが限られている色が2色あります。
それは天皇陛下が即位のときに着用されていたくすんだオレンジ色のような「黄櫨染(こうろぜん)」という色と
皇太子が着用するオレンジ色のような「黄丹(おうに)」という色の2つです。
この微妙な色の違い・・・分かりますでしょうか?
黄櫨染めと禁色との関係は?
黄櫨染(こうろぜん)や黄丹(おうに)が禁色だと言いましたが、今の私たちが服はハンカチなどに使うことが許されていないわけではありません。
あくまで黄櫨染(こうろぜん)や黄丹(おうに)の色を使った天皇陛下の即位の際に着られるような袍という袴のようなものが特別だというだけの話です。
そして、「黄櫨染(こうろぜん)」の色を染め上げる方法を「黄櫨染め(こうろぞめ)」と言います。
黄櫨染めは光が当たるとどのように色が変わる?
「黄櫨染(こうろぜん)」は先ほど紹介したくすんだオレンジのような色ですが、「黄櫨染め」という染め方で出せる色は「黄櫨染(こうろぜん)」だけではありません。
実は「黄櫨染め」で染められた布には、下の画像の糸のように緑や黄色、ベージュや青などさまざまな色があります。
これらの「黄櫨染め」で染められた糸は光が当たると、次の画像のように色が変わります。
ピンボケしてしまったのは、強い光のせいでピントがずれてそれに気づかずに撮影してしまった10年ぐらい前の私のせいです。
それはともかく、どの糸もすべて紫色に変化していることが分かりますでしょうか。
はじめてこの糸の存在を知ったのはたまたま「織成舘(おりなすかん)」という西陣織の技法を伝える博物館に立ち寄ったときでした。
そのときに、これらの光が当たると紫に色が変わる「黄櫨染め」で染められた糸の存在は、最近まで一般には伝えてはならないものだったという話を聞きました。
ちなみに、「黄櫨染め」で染められた糸が一番鮮やかに紫色に変化するのはろうそくの光だそうです。
平安時代などに、夜になると紫色に高貴に輝く着物を身にまとった限られた人たちがいたというのは素敵です。
光が当たると色が変わる布「黄櫨染め」はネット購入できる?
「黄櫨染(こうろぜん)」という色はその存在すらも一般には知られていませんでしたが、今は材料や染め方についてもベースの部分については一般公開されています。
楽天市場などでも「黄櫨染め」と検索をすれば、扇子や帯などさまざまな商品がみつかります。
光が当たると色が変わる布「黄櫨染め」の取扱店や価格は?
「黄櫨染め」のために使われる材料には希少なものが多く、その染め方にも熟達した技術が不可欠です。
帯などでは色の出具合いや染め方の手法などによって価格の幅は広く、10万円〜50万円程度するものまでさまざまあります。
ネットでの購入ではなく、ちゃんとした商品を欲しいという方は実店舗での購入をされることをオススメします。
私が「黄櫨染め」を知るきっかけになった「織成舘(おりなすかん)」を主催されている「渡文」は西陣織のメーカーなので、より一層高価になってしまいますが、間違いのない商品を提供してくれます。
ネットで購入できる「黄櫨染め」を謳っているものの多くは、独自の染め方を編み出して安価に生産できるように改良されたものです。
その場合は1万円台から扇子や帯などを購入することが可能です。
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光が当たると色が変わる「黄櫨染め」の染め方や材料は?
黄櫨染めがどうして天皇陛下や皇太子のみが着用を許される服の色として使われることになったのでしょうか?
それには「黄櫨染(こうろぜん)」の色を出すための材料の希少性や染める技術の難度が深く影響しています。
黄櫨染めの材料は何?
黄櫨染めの材料には櫨(はぜ)という植物の樹皮が使われます。
黄櫨染(こうろぜん)のくすんだオレンジ色を作るためには、櫨(はぜ)の樹皮と蘇芳(すおう)という植物の樹皮を混ぜることで出来上がります。
黄櫨染めでは、「櫨(はぜ)の樹皮+作りたい色の材料+灰+酢など」が使用されます。
この櫨(はぜ)が重要で、産地によってうまく鮮やかな色が出ることもあればボケてしまうこともあるそうです。
またただ単に櫨(はぜ)と言っても、ヤマハゼでなければならず、そのなかでも幹の中心の黄色い部分だけを使わなければならないという決まりがあります。
黄櫨染めの染め方は?
材料となる櫨(はぜ)の樹皮や作りたい色の材料を混ぜて煮出していき、染液を作ります。
その後は染めと媒染(色を定着させる作業)とを繰り返していきます。
染め方自体は言葉にするとこれだけですが、熟練の技術や見極めが物を言います。
黄櫨染めが貴重で高価だと言われる理由
黄櫨染めで染められた製品を購入することは現在可能になりましたが、伝統に従って染め上げられているものは実はほとんどありません。
楽天市場なので購入できる10万円を切るような商品は材料や染め方を模倣していますが、いずれかの工程が簡略化されています。
材料となる櫨(はぜ)の入手難度の高さや染色の難しさから、どうしても高価になってしまいます。
まとめ
・光が当たると色が変わる布とは何か?
布の一部が光によって色が変わって見えるのではなく、前面が一様に異なる色に変わる。
そのような布、糸が日本には古来から存在していました。
・日本にある禁色とは何色?
天皇陛下が即位のときに着用されていたくすんだオレンジ色のような「黄櫨染(こうろぜん)」という色と皇太子が着用するオレンジ色のような「黄丹(おうに)」という色の2つです。
・黄櫨染めと禁色との関係は?
黄櫨染(こうろぜん)や黄丹(おうに)が禁色だと言いましたが、今の私たちが服はハンカチなどにそれらの色を使うことが許されていないわけではありません。
・黄櫨染めは光が当たるとどのように色が変わる?
「黄櫨染め」で染められた糸が一番鮮やかに紫色に変化するのはろうそくの光です。
・光が当たると色が変わる布「黄櫨染め」はネット購入できる?
その希少性から値段はどうしても張ってしまいますが楽天市場などでも購入することが可能です。
・光が当たると色が変わる布「黄櫨染め」の取扱店や価格は?
帯などでは色の出具合いや染め方の手法などによって価格の幅は広く、10万円〜50万円程度するものまでさまざまあります。
ネットでの購入ではなく、ちゃんとした商品を欲しいという方は実店舗での購入をされることをオススメします。
・黄櫨染めの材料は何?
黄櫨染めでは、「櫨(はぜ)の樹皮+作りたい色の材料+灰+酢など」が使用されます。
・黄櫨染めの染め方は?
染めと媒染(色を定着させる作業)とを繰り返していきます。
・黄櫨染めが貴重で高価だと言われる理由
材料となる櫨(はぜ)の入手難度の高さや染色の難しさから、どうしても高価になってしまいます。
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