彼岸の時期にはなぜお墓参りやおはぎを用意するのでしょうか?
今回は彼岸の意味や、彼岸はいつからいつまでを指すのかについて紹介します。
彼岸になぜ墓参りやおはぎ?
彼岸になぜお墓参りやおはぎを用意するのでしょうか?
彼岸になぜお墓参りをするのか?:先祖に感謝を告げるため
私たちがお墓参りに行く時期は、
- お盆(7月13日〜 or 8月13日〜)
- 彼岸(春分・秋分の日の前後3日間)
- 節目の時期
が主な時期でしょう。
現代ではお墓は実家にあるため、なかなか春分・秋分の時期に里帰りをしてお墓参りをできないということもありますが、本来はお盆と同じくお墓参りをする時期の代表例でした。
彼岸の時期のお墓参りは、仏教において春分・秋分の日は「あの世とこの世が最も近づく日」と言われています。
そのため、先祖の供養・邂逅としてはお盆以上に適した時期と言えます。
もっともあの世に近づく時期なので、「彼岸に思いが届く」といった表現がなされるようになりました。
漢字からも彼岸は彼の岸、彼方の岸と言い換えていくとイメージがしやすいでしょう。
浄土信仰において、
あの世 | 彼岸(西) |
この世 | 此岸(東) |
と呼ぶことがあります。
また、彼岸は此岸の西の彼方にあると考えられています。
中学校の理科の話ですが、春分・秋分の日には太陽がちょうど真西(彼岸)に沈む時期でもあります。
また、お盆と彼岸の墓参りの違いは
彼岸 | あの世とこの世が近づき、私たちが供養に出向く |
お盆 | 先祖がこの世に帰ってくる、私たちは迎え入れる |
このようになります。
あの世とこの世の距離が近づき、私たちの感謝や願いがあの世に届きやすい時期が彼岸であり、私たちが供養に出向きます。
お盆はあの世から先祖がこの世へと渡って帰ってきます、それを私たちが迎え入れる形になります。
彼岸は春分・秋分の日の前後3日間を指します。
時間帯や合計7日間のうちで最も適切な日というものは特にないようです。
ただし、彼岸のお墓参りの意味・理由から考えると春分・秋分の日にお墓参りをするのが最も適していると言えます。
彼岸におはぎ・ぼたもちを用意する理由は?:春はぼたもち・秋はおはぎ
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彼岸にはおはぎであったり、ぼたもちを用意します。
彼岸は春と秋の2回あります。
春 | ぼたもち |
秋 | おはぎ |
春の彼岸にはぼたもちを、秋の彼岸にはおはぎを用意することになっています。
ぼたもちもおはぎも、どちらも作り方も見た目も変わりない食べ物ですが、それぞれに花の名前と関連しています。
ぼたもち=牡丹餅
ぼたもちは「牡丹餅」と書き、牡丹の花が春の彼岸の時期に咲きます。
下の画像が牡丹の花です。
大輪の花が咲くことから、ぼたもちはおはぎに比べて大きめに作るようになりました。
また、ぼたもちにはこしあんが使われる傾向にあります。
春には小豆の種をまきますが、ぼたもちとして使われる小豆は昨年の秋に収穫した小豆です。
収穫から日が経っており、小豆の皮が硬くなっているため皮を取り除いてこしあんとして使用します。
おはぎ=お萩
おはぎは「お萩」書き、萩の花が秋の彼岸の時期に咲くことと関連しています。
萩の花は下の画像のような小ぶりな花です。
このことから、ぼたもちに比べておはぎは小さめに作られるようになっています。
おはぎにはつぶあんが使われる傾向があります。
春にまいた小豆を収穫しておはぎを作るため、秋のおはぎでは皮も柔らかく食べることができるためつぶあんを使用します。
ぼたもち・おはぎを用意する理由は?:先祖への感謝
ぼたもちもおはぎもあんこが使用されています。
あんこの材料である小豆は魔や邪を払うものとされており、餅米には五穀豊穣の意味が込められています。
時期としても春は種をまく季節であり、秋は食物の収穫をする時期です。
春と秋の彼岸は豊穣を祝う時期と重なっているため、私たちの先祖に対してその年の実りの願いを感謝を伝えるという意味合いも含まれています。
先祖への感謝を表す意味はおはぎやぼたもちの材料にも表されており、昔は貴重だった砂糖も使用されています。
また、「餅米とあんこを合わせる」という部分が「先祖と自分たちの心を合わせる」という意味合いも含まれています。
彼岸にお墓参りに行けない時どうする?:特に問題なし
先祖のお墓があなたが住んでいるところから、すぐのところにあるとは限りません。
仕事や子供の用事でお墓参りにそもそも行けていないということもあるでしょう。
お墓に対する価値観は合同墓や散骨など、さまざまな葬儀の形がある現代ではさまざまです。
彼岸だけでなくお墓参りに行かないことで、何かお寺さんからクレームがつくことも特にはありません。
大切なことはお墓参りという形で、先祖へ思いを馳せたり感謝の気持ちを持つ時間です。
お墓周りの掃除も含めて、時期が彼岸からズレてしまってもお墓参りをしてはいけないということもありません。
雨や夕方以降などは縁起が悪いという人もいますが、親族に特に気にする人がいないのであれば、先祖を思うあなたの気持ちを優先して良いです。
また、自宅に仏壇があるなら彼岸の時期に手を合わせたり、仏壇がなくても手を合わせて先祖を思い、感謝をすることが大切です。
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彼岸の意味や2020年はいつからいつまで?
彼岸の意味や、彼岸はいつからいつまでなのでしょうか?
彼岸の意味は?:あの世とこの世が最も近づく時期
彼岸には春と秋の2種類があります。
春分・秋分の日から前後3日間を合わせた7日間ずつが、彼岸の時期になっています。
春の彼岸を春彼岸、秋の彼岸を秋彼岸とも呼びます。
日本では太陽の軌道が南寄りから北寄りまで、季節によって移り変わっていきます。
その中でも春分と秋分の日には
- 真東からのぼり、真西へと沈む
- 昼と夜の長さが等しい
- 春分の日は冬と春の境目
- 秋分の日は夏と秋の境目
といった特徴があること、また仏教の浄土信仰においてあの世とこの世が最も近づく時期であることから、春と秋の彼岸が先祖への感謝や思いを告げる時期として重要視されてきました。
また、日本の祝日について定めた祝日法では春分・秋分の日には異なる意味づけがなされています。
内閣府によると、
春分の日……自然をたたえ、生物をいつくしむ日
秋分の日……祖先をうやまい、なくなった人をしのぶ日
とのことです。
また、お坊さんにとっては彼岸はあの世とこの世がもっとも近づくため、修行を重ねて悟りを開くことであの世へ行くことができる重要な時期でもあるようです。
彼岸は宗派によって彼岸会と呼ばれる行事が催されています。
浄土信仰において、極楽浄土は西方にあり春分・秋分の日には太陽が真西へと沈むことから、真西に沈む太陽を礼拝することで西の彼方にある極楽浄土に思いを馳せることから、彼岸という文化が始まったとされています。
次第に先祖供養の行事として定着していったと言われています。
彼岸は「波羅蜜」という仏教用語が用いられており、さらにもとを辿ればサンスクリット語の「pāram」へと至ります。
パーラミターは「悟りの境地に至る」という意味があり、今では彼岸は先祖の供養がメインとなっていますが、本来は彼岸には「悟りの境地・涅槃」といった意味が含まれています。
現在日本で行われている彼岸のお墓参りのように先祖を供養する意味合いは、本来の仏教思想にはない日本独自のものです。
このあたりは日本神道や日本人の独自の宗教観と融合した結果、生み出されたものと考えられています。
なので、本来は「波羅蜜」と関連して「六波羅蜜」というあの世へと至るための6つの修行がお坊さんたちによって行われますが、私たちにはあまり関係のないものとなりました。
ちなみに、「六波羅蜜」は六波羅蜜寺によると次のようなものです。
- 布施…見返りを求めない応分の施し行うこと
- 持戒…高い常識を持って感情に流されず、瞬時に自らを戒めること
- 忍辱…どのような辱めを受けても耐え忍ぶことで、仏の慈悲に通じる
- 精進…不断の努力、絶えず誠心誠意を尽くすこと
- 禅定…冷静に第三者の立場で自分自身を見つめること
- 智慧…貪りや怒り・愚痴で智慧を曇らせず、本来持つ智慧を生かすこと
2020年の彼岸はいつからいつまで?:春分・秋分の7日間
彼岸は春分の日と前後3日間、秋分の日と前後3日間の7日間ずつを指します。
例えば2020年の場合は
- 春の彼岸
水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 月 | 火 |
3/17 (彼岸の入り) |
3/18 | 3/19 | 3/20 (春分の日) |
3/21 | 3/22 | 3/23 (彼岸の明け) |
- 秋の彼岸
土 | 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 |
9/19 (彼岸の入り) |
9/20 | 9/21 | 9/22 (秋分の日) |
9/23 | 9/24 | 9/25 (彼岸の明け) |
このようになります。
なぜ前後の6日間が彼岸に含まれているのかは、彼岸の由来とされる「六波羅蜜」の「六」と関係があるようです。
春分の日、秋分の日は毎年不規則に変化しているため、事前に春分・秋分の日がいつかを正確に知りたい場合は、国立天文台が発する「暦要項」を確認する必要があります。
基本的には
春分の日 | 3月20日 or 3月21日 |
秋分の日 | 9月22日 or 9月23日 |
春分の日は3月20日か3月21日のいずれか。
秋分の日は9月22日か9月23日のいずれかで変遷しています。
春分の日、秋分の日は「国民の祝日に関する法律」によると、春分日、秋分日という天文学で決められた日を採用しているようです。
国立天文台が春分日・秋分日からこの先の春分・秋分の日を計算した結果が
年 | 春分の日 | 秋分の日 |
2020年 | 3月20日(金) | 9月22日(火) |
2021年 | 3月20日(土) | 9月23日(木) |
2022年 | 3月21日(月) | 9月23日(金) |
2023年 | 3月21日(火) | 9月23日(土) |
2024年 | 3月20日(水) | 9月22日(日) |
2025年 | 3月20日(木) | 9月23日(火) |
まとめ
・彼岸になぜお墓参りをするのか?
あの世とこの世の距離が近づき、私たちの感謝や願いがあの世に届きやすい時期が彼岸であり、私たちが供養に出向きます。
・彼岸におはぎ・ぼたもちを用意する理由は?:春はぼたもち・秋はおはぎ
春と秋の彼岸は豊穣を祝う時期と重なっているため、私たちの先祖に対してその年の実りの願いを感謝を伝えるという意味合いも含まれています。
・彼岸にお墓参りに行けない時どうする?:特に問題なし
彼岸だけでなくお墓参りに行かないことで、何かお寺さんからクレームがつくことも特にはありません。
・彼岸の意味は?
仏教の浄土信仰においてあの世とこの世が最も近づく時期であることから、春と秋の彼岸が先祖への感謝や思いを告げる時期として重要視されてきました。
・2020年の彼岸はいつからいつまで?:春分・秋分の7日間
彼岸は春分の日と前後3日間、秋分の日と前後3日間の7日間ずつを指します。
例えば2020年の場合は春の彼岸が3月17日〜3月23日、秋の彼岸が9月19日〜9月25日です。
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