発泡スチロールは買い物をしたり、引っ越しをする時などに大量に出てきてしまいます。
そのままゴミ袋に入れても大きさと硬さから、何枚もゴミ袋が必要になってしまうことも多いですよね。
だからといって、小さくしようとしても小さい粒がポロポロと出てきて体にも床にも張り付いてしまうのですごく困ります。
今回は、発泡スチロールの体積を減らす方法として、簡単に切る・小さくして捨てる捨て方でとても便利で楽な方法を紹介します!
発泡スチロールの体積を減らす方法で危険なもの
発泡スチロールは大きくて厄介ですが、空気の粒によって膨らんでいるだけなので実際にはそれほど体積があるわけではありません。
なので、空気さえ追い出すことができたり、発泡スチロールの成分を溶かすことができれば一気に体積を減らすことが可能です。
発泡スチロールの体積を減らす方法として、可能ではあるものの危険なものがいくつかあります。
- 溶剤を使って溶かす
- 加熱して溶かす
大きくはこの2種類です。
溶剤を使って溶かす
発泡スチロールはスチレンという合成樹脂が原料で、分子構造が油と似ているため、油の中に浸すことで液体に溶けてしまいます。
多くの「油」に溶けてしまうのですが、身近なものでは
- リモネン(ミカンなどの柑橘の表皮に含まれる)
- アセトン(マニキュアに使われる)
- シンナー
- ベンジン
- ガソリン
- 灯油
実際に発泡スチロールを溶かすため専用に開発された薬品というものも販売されています。
下の画像はテレビ番組でアセトンに発泡スチロールを浸けるという実験の様子です。
リサイクル業者であれば、溶けた発泡スチロールから再び新しい発泡スチロールの製品を加工できるため便利ですが、私たちには「この後の処理」という部分がネックです。
溶剤の購入費用もかかるだけでなく、発泡スチロールが溶けた液体の処分方法としては燃えるゴミや燃えないゴミとして処分することは適切ではありません。
ミカンなどの柑橘類の表皮に含まれるリモネンを擦り付けるのであれば、簡単にできるしミカンなのだから問題ないだろうと思われるかもしれません。
しかし、ガソリンなどは引火しやすいとよく言われるように、これらの溶剤はいずれも火がつきやすいため、念のために処分業者に引き取りをお願いするほうが良いでしょう。
職場のあんぜんサイトや製品安全データシートによると、
- リモネン(ミカンなどの柑橘の表皮に含まれる)
- アセトン(マニキュアに使われる)
- シンナー
- ベンジン
- ガソリン
- 灯油
これらの引火点(火が付きはじめる温度)と自然発火温度は以下のとおりです。
引火点 | 自然発火温度 | |
リモネン | 48℃ | 237℃ |
アセトン | -20℃ | 540℃ |
シンナー | -4℃ | 343℃ |
石油ベンジン | 約-40℃ | 約280℃ |
ガソリン | -45℃ | 約300℃ |
灯油 | 最低37〜65℃ | 最低220℃ |
引火点はあくまでも、火がつき始める温度なのでわざわざ火を付ける人がいない限りは問題ありません。
そうなると、自然発火温度ですが200℃以上にはなかなかならないし大丈夫だろうと思ってしまうかもしれません。
- ダンボール箱に亜麻仁油約150ccを3枚の布にしみ込ませる
- 常温で放置
- 実験開始5時間48分後に120℃まで温度上昇
これはつまり、
- 空気中の酸素と反応して酸化反応が起こる
- その際に反応熱が発生
- ゴミ袋など密閉された状態では熱の逃げ場がないため蓄積して温度上昇
ということです。
この実験では発火までには至りませんでしたが、60℃〜70℃の環境を作り出した実験では約2時間で300℃〜400℃に達して自然発火が起こっています。
どうしても業者に頼らずにゴミ処理をしたいのであれば、溶剤の注意事項に従った処分を行うことが不可欠です。
食用油の例で言えば、十分な量の水を一緒に容器に入れて捨てることが挙げられます。
燃やす(加熱)
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発泡スチロールの体積を減らす方法としてもう一つは燃やしてしまう、加熱するというものがあります。
灰になってしまえばほとんどゴミは残りません。
とはいえ、昨今では田舎であっても家庭ゴミを焼いていることは稀ですし、「野焼き」と呼ばれるこうした行為は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃掃法」)」という法律で原則禁止されています。
罰則もあり、紀の川市ホームページによると
野焼きをした人には5年以下の懲役、1,000万円以下の罰金のいずれか、または両方が科せれられます。(廃掃法第25条)
とのことです。
一般家庭で出るゴミの焼却も野焼きに該当するため、発泡スチロールを加熱する行為も避けるべきでしょう。
発泡スチロール自体は、加熱したところで有害ガスは出ずに炭酸ガスと空気になるだけですが、この法律では特に有害ガスのことだけを気にしているのではなく生活環境として近隣住民への不快感を与える行為がポイントになっているように感じます。
松原産業のホームページでは、発泡スチロールの耐熱温度は通常70〜80℃程度だと言います。
家庭でもコンロなどで簡単に作り出せる温度ですが、家庭ゴミの焼却は禁止されていることを踏まえるとすべきではありません。
こちらのホームページでは、発泡スチロールを加熱して体積を減らす方法を実践し、換気扇を回して行うよう推奨していますが、通報されて捕まる可能性もあるためやってはいけません。
という訳で、直接的に発泡スチロールの体積を減らす、消滅させるという方法を紹介してきましたが、危険であったり法律で禁止されている行為だと言うことをご理解いただけたかと思います。
では、現実的に実践できる発泡スチロールの体積を減らす方法を紹介します。
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発泡スチロールの体積を減らす方法
ごみとして出す場合も、袋の中でかさばらず、コンパクトにしたいと思いますよね。
煩わしいのは、砕いたりすると無数に出る小さなくず。
部屋中に散乱したり、色々くっついたり、困った経験がある人も多いでしょう。
今回は、一般家庭で出る量を想定して、お金と手間はかけずに部屋を汚さず、簡単に小さくして捨てる!方法を提案したいと思います。
用意するもの
用意するものは、
- 濡れ布巾
- 包丁
- 熱いお湯
- ごみ袋
そして発泡スチロールです。
大きめの箱型の発泡スチロールです。
袋がしまらない状態でごみとして出すことができません。
切りやすい道具を準備:包丁がオススメ
- 工作用カッター
- 包丁
- パン切りナイフ
- ノコギリ
まずこの4つの中で一番切りやすいものを選びます。
どれを使っても発泡スチロールを切ることはできますが、オススメは包丁です!!
なぜカッターなどはダメなのかを説明すると
- 工作用カッター:包丁に比べ時間がかかり、くずも多くでてしまいました。太めの工具用のカッターで新品の刃にすると、スムーズに切れるかもしれません。
- ノコギリとパンナイフ:ギザギザの刃が仇となり、くずが大量にでるので却下しました。
といった理由です。
包丁を使って簡単に切って小さく捨てる
まずは発泡スチロールを切る前に包丁を熱いお湯で温めます。
水分で摩擦による静電気が抑えられ、熱で常温より切りやすいです。
包丁を火で炙って切ると発泡スチロールが溶けて付着し、包丁を捨てる羽目になるのでやめましょう・・・。
お湯に浸ける時間は、はじめは5分程度です。
切るたびに浸けることが望ましいです。
お湯からあげた包丁の水気は切ってしまうと発泡スチロールがくっついてしまうので、お湯からあげて10秒ほど待つと滴らなくなります。
お湯は沸騰したての高い温度ほど良いと思います。
包丁の芯まで温めたほうが熱を保つことができるので、お湯を包丁にかけるよりも浸けたほうがより効果が期待できます。
包丁と同じく、静電気を発生させないために手と発泡スチロールを濡らします。
濡れ布巾などで湿らせて、静電気の発生をおさえましょう。
ごみ袋に入る大きさに切る
まずはごみ袋に入る位のサイズで、大きめにカットします。
しっかり包丁を差し込んで動かしながら切っていきます。
※怪我をしないように気をつけてください。
角の部分(4箇所)も上の画像のように切っておきます。
このあと小さく手で割っていくので、割る箇所に包丁を平行にあて、2回ほどスーッと手前に引いて<切れ目>を入れておきましょう。
ごみ袋に入れてから割る
ここから、あっという間に小さくできます。
小さなくずが散乱しないようごみ袋の中に入れて、切れ目のところを両手で割ります。
パキっと簡単に割れるのが楽しくて、癖になりそうです!!
すべてを割るとこんなにコンパクトになりました。
カッターで切ったり、砕いたりするよりも力もいらず、簡単に小さくできたと思います。
最初の段階で小さなくずが多少出たものの手につくことも有りませんでした。
とてもオススメなので、発泡スチロールを捨てる際は、ぜひ試してみてくださいね。
どうしても出てしまう小さいくずは、コロコロで集めてしまいましょう。
掃除機は楽ですが、カップに付着します。水洗いできない場合はやめたほうが良いでしょう。
発泡スチロールを簡単に切る道具
発泡スチロールを簡単に切るための専用道具が売られています。
ゴミ出しのために買うのはもったいない気もしますが、100円ショップでも買うことができるので、持っていても良いかもしれません。
ダイソーのスチロールカッター
スチロールカッターと呼ばれる発泡スチロール専用のカッターがあります。
ホームセンターや100円ショップで手に入ります。
糸ノコのような形状で、熱で溶かしながら切っていきます。
曲線も綺麗に切れるので、工作やリメイクする場合は購入しても良いかもしれませんね!
100円ショップのものは、厚み2センチ以内しか切れませんので、ご注意ください。
発泡スチロールの捨て方
発泡スチロールといえば・・・
- 食品トレー
- クール便の箱
- 果物のネット
- 家電製品などの緩衝材
などがあります。
役目を終えた発泡スチロール、皆さんはどうしていますか?
何かに使えそうだけど、大きなものは場所をとりますよね。
ごみで出すにしても、何ごみ?処分の仕方に迷います・・。
発泡スチロールを捨てるには以下の方法があります。
- 自治体の資源ごみ、または可燃ごみとして出す
- スーパーなどの回収ボックスに出す
- リサイクル業者に出す
- 市の処理施設に持ち込む
それぞれ見ていきましょう。
自治体の資源ごみ、または可燃ごみとして出す
発泡スチロールは自治体のごみ収集に出すことができます。
ただし、自治体によって分別方法が異なります。
- プラスチック製容器包装(資源ごみ)となる自治体
- 可燃ごみとなる自治体
- 状態によっては不燃ごみとなる自治体 など
ごみステーションへ持っていく前に、お住まいの自治体のルールを以下の方法で確認しましょう。
「発泡スチロール 捨て方 〇〇(市町村名)」を検索
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または |
自治体が配布するごみ分別用の冊子で確認 |
それでもわからなければ、お住まいの市区町村へ直接お問い合わせくださいね。
スーパーなどの回収ボックスに出す
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綺麗に洗った食品トレーのみ回収可能(無料)です。
個人ができるリサイクル活動の一つです。積極的に利用したいですね。
ちなみに納豆パックは、洗っても菌が残る為回収BOXに入れることはできません。
リサイクル業者に出す
手に負えない量の場合は業者にて処分してくれますが有料となることが多く、事前にきちんと調べてから依頼しましょう。
市の処理施設に持ち込む
市の処理施設に持ち込む、または粗大ごみとして回収を依頼するには「搬入許可書」や「手数料」が必要になることがあります。
自治体によって異なりますのでお住まいの市区町村へご確認ください。
その他
なお、家電などの梱包材は、購入した店で引き取ってくれることもあるようです。
お店が近いなら相談してみてもよいですね。
燃やすと、有害物質ではありませんが大量の黒煙が出て近所迷惑になるのでやめましょう。
補足:発泡スチロール工作・DIYアイデア
クッション性がよく、軽い、耐水、保温、保冷、加工もできる発泡スチロールは優秀な資材でもあります。
何かに使えないかな?と考えている人もいますよね。
ここでは、再利用できそうなアイデアをまとめました。
工作や遊びで使う
割り箸・爪楊枝、紙粘土などと組み合わせて、飛行機や恐竜、昆虫、ジオラマ・・・。
好きなものを作ってみてはいかがですか?自由研究にもピッタリ。
小さなお子様は、お風呂やプールで遊べるおもちゃを作ったり可愛くデコレーションしたケーキを作るのも楽しいですよ。(上の画像は5歳作です。)
DIYに挑戦
軽くて断熱性能もあるので壁材にピッタリなのです。
レンガやタイル風にして壁に貼るだけ!
いますぐ簡単リノベーションができちゃうかもですね。
こんなアイテムならもっと手軽に
他にも例えば
- 裁縫の針山に
- リメイクシートを使って、おもちゃ箱や子供用の椅子に
- フォトフレームやフラワーリースをつくって壁面に飾るのも素敵です。
- 植木鉢の底に敷く鉢底石にも使えます、軽くてネットに入れれば土と混ざりません。
箱型の発泡スチロールならそのまま再利用!
綺麗な箱型の発泡スチロールであれば、切って壊してしまわずにそのまま再利用するのもいいですよ。
- 発泡スチロール菜園!穴を開けてプランターに
- コップのお湯を一緒にいれて、パンの発酵容器にもなります。
- バーベキューや運動会・・保冷剤を入れてクーラーボックスに
- 車で買い物するならトランクに積んでおいて、買い物バックの代わりに
- 人気のビオトープ、メダカの飼育容器に!
まとめ
- 捨てるには各自治体のルールに従ってください。
- 小さくするには、手と発泡スチロールを湿らせて、温めた包丁を使うのがおすすめ。
- 切れ目を入れておいてゴミ袋の中で割れば、部屋が汚れません。
- 発泡スチロールは優秀な資材です。家の中で活躍する場所をさがしてみてくださいね。
手元にある発泡スチロールの行方はきまりましたか?
この記事があなたのお役にたちますように。